五月から六月にかけての収穫期、八戸市鮫地区の生産者の一日は“超”がつくほどハード。
キャリア四十年以上の大ベテラン、速水金一さん(69)もその一人。一緒に作業する妻の笑子さん(65)が「この二カ月はまるで戦争」と苦笑するほどだ。
速水さん夫妻の朝は早い。夜も明けきらない午前三時前には漁場に向かい、前日収穫済みの四百~五百キロのコンブを引き揚げ、自宅加工場に持ち帰る。金一さんが切断機でコンブを刻むそばでは、笑子さんが鍋で湯通しする作業。
金一さんは切断を終えると、単身再び漁場に向かい、五時間がかりで翌日加工するコンブの刈り取り。笑子さんは湯通ししたコンブをパート女性とともに、千枚前後の「パレット」に“水打ち”する作業が続く。
昼食後も自宅でコンブの乾燥状況に目を光らせながら、乾燥を終えたものはパレットからはがし、製品として束ねる作業が待つ。やっと二人の仕事が終わるのは、午後六―七時ごろ。「シーズン中は、ほぼ毎日がこの繰り返し」と金一さん。
乾燥能力と切断機の能力向上で「すだれで天日干しした十年以上前と比べ、一日の生産能力は数倍にもなった。同時に忙しさもね」と笑子さん。それでも、金一さんは「いいものを作るために、手間と時間がかかるのはしょうがない」と言ってのける。
シーズン中の少ない休みは、海がしけた日だけ。
だが、「コンブが流されないか気になり、逆に落ち着かない」のが生産者の本音だ。


