Free【北奥羽の地名】通目木(六戸)/大ヒノキ、旅人の目印に
【通目木=づめき】
六戸町中央部の六戸調整池西側に位置する地域で、集落を囲むように畑や水田が広がる。文献によれば、地域にあった巨木が地名の由来とされる。
六戸町史には「通目木の檜(ひのき)」という言い伝えが記載されている。 昔、八戸から市川を通り、七戸へ向かう途中に大きなヒノキが立っており、旅人の目印になっていた。その「通り目の木」が地名につながったという。
言い伝えには続きがある。ヒノキはさらに大木となり、地元の人にご神木として信仰されるようになった。ある時、男がヒノキを切って売ってしまうと、数日後に急死。人々は木を切ったたたりだと恐れた―というてんまつだ。
このヒノキの切り株跡は、現在も集落にある富士大明神宮の境内に残っている。
同町の郷土歴史研究家によると、通目木の集落は江戸時代初期に形成され、ヒノキはそれ以前からあった可能性があるという。「通目木という珍しい地名が付くほど、木が地域のシンボル的な存在だったのだろう」と推測する。
※ネット連載