Free偉人の半生、朗読劇で 二戸市民文士劇が「相馬大作物語」
二戸市民文士劇実行委員会(田代博之委員長)による朗読劇「相馬大作物語」がこのほど、市民文化会館で上演された。市民キャストらの語りに音楽の生演奏、激しい殺陣も絡めた新しい形の群像劇を繰り広げながら、忠義を貫いた郷土の偉人の思いに迫った。
今年の文士劇は新型コロナウイルスの影響で規模を縮小したものの、若い実行委員を中心に開催に向けて議論を重ね、朗読劇というスタイルを選んだ。来年の公演は、没後200年に当たる相馬を主人公に行う予定で、今回はその「予告編」に位置付けた。
物語は江戸時代後期を舞台に、南部藩と津軽藩の対立や、後に相馬を名乗る「下斗米秀之進」と親友の細井萱次郎との交流を描きながら進行。故郷の二戸に兵学道場を立ち上げた相馬が、人材育成に情熱を注ぎ、両藩が手を携えることを望みながらも、忠義心から弘前藩主・津軽寧親(やすちか)の襲撃を決意するまでの葛藤も表現した。
作家の高橋克彦さんがナレーションを務め、オペラシアターこんにゃく座(神奈川県)などが特別出演。二戸吹奏楽団と県立福岡高吹奏楽部の生演奏や、二戸大作太鼓の力強いばちさばきも披露され、会場を盛り上げた。
当日は午前、午後の2回公演し、計約450人が来場した。主人公の相馬役を演じた二戸市職員の榿澤拓界(はんのきざわひろくに)さん(36)は「通常の公演と違うスタイルで、どのようにお客さんにストーリーを伝えるか、舞台上の動きを工夫しながら表現した。来年につながったと思う」と手応えを強調した。