Free【月刊Dash】日の丸背負う若手GK/ブレイズ・古川駿
ブレイズでの活躍と潜在能力が評価され、日本代表にも選ばれているのがGK古川駿(25)=八戸市出身=。今季のジャパンカップは4試合の出場(7日現在)にとどまっているが、リーグ内では高いシュートセーブ率を誇っている。チーム1の若手GKとして、今後の成長が欠かせない存在。「もっと出場機会を増やして、今季の最優秀GKを目指す」と闘志を燃やす。
(11日発行の月刊Dash11月号から記事をセレクトしました)
2歳上の兄の影響で小学1年から競技を始めた。すぐさまGKに興味を持った。「防具が“ロボット”みたいで格好良かった。ほかの選手と違う動きをしているのが面白そう」。ジュニアチームの監督に志願し、小学2年からGKの道へ。以降、チームメートとは別メニューの練習で守護神としての技術を高め続けてきた。
「GKはシュートセーブよりも、スケーティングが大事」との信念がある。小学生時代からとにかくゴール前の滑りに磨きをかけてきたことで、現在は、国内屈指のGKに成長した。「体勢を崩されても、すぐに立て直す。シュートを体の正面で止めることにこだわって練習してきた」。
中学は青森県内アイスホッケーの強豪・八戸二に進学。1年から正GKとして活躍し、八戸市開催の全国中学校大会にも出場した。工大一高時代は、全国私立高校選抜大会で初V。全国高校選手権(インターハイ)で3位の好成績に貢献した。高校最後のシーズンは持ち前のスケーティング技術が評価され、U-20(20歳以下)の日本代表に初選出され、世界選手権(ハンガリー)を経験するなど着実にステップを上ってきた。
東洋大OBで工大一高監督の石藤壽也氏の勧めで、同大に進学。それまでの競技人生で初めてGKコーチのいない環境を経験した。「これまでは、与えられたメニューをこなしていたが、いかに自分を高められるかの練習に変わった」。北米プロアイスホッケーNHLのチームに所属するGKのプレーを参考にしながら、自ら考えて練習に取り組む日々を送った。「状況判断や相手のシュートをはじくコースなど細かい技術を高めた」。全日本学生選手権では準優勝が最高成績。目標の日本一には届かなかったが、「自分で考えながら練習、試合に臨んだことで、この4年間が一番成長できた」と自負する。
大学4年の12月からブレイズに加入。他の国内プロチームからも入団の誘いがあったが、「地元の力になりたい」と生まれ故郷でのプロ生活を選んだ。大学と同様、ブレイズにもGKコーチがいない。それでも、同じ高校のOBで先輩の橋本三千雄、畑享和のGK2人と綿密にコミュニケーションを図りながら切磋琢磨している。
今季は7日までに12試合を終え、橋本が9、古川が4試合に出場。橋本は現在44歳ながら、ベテランの技と勝負勘でファインセーブを連発。チームの躍進に貢献している。「相手のプレーを読む能力が高い。身体能力の衰えもない」と大先輩のプレーを素直に認める一方、強烈なライバル意識もある。「GKはFWやDFと違って、代わる代わる出場機会があるわけではない。試合に出るか出ないか。自分が正GKにならないと」と言い聞かせるように話す。
44歳のベテラン橋本は憧れの選手でもある。「できる限り八戸でプレーして、三千雄さんくらい長い間、現役で頑張りたい」。
今季の目標は「最優秀GK」。「ゴール前のスケーティングは誰にも負けない。出場機会を増やして、チームの勝利に貢献したい」。若き守護神があくなき向上心に燃えている。
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※Das11月号は11日(木)発売。北京冬季五輪を目指す選手たちのほか、地元アマチュアチームや、ヴァンラーレ八戸、東北フリーブレイズ、青森ワッツなどを特集しています。本紙発行エリアのコンビニ、伊吉書院、成田本店(青森市内3店含む)、本紙販売店で販売します。津軽地方の方は成田本店がお求めやすいです。
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