Free審査員特別賞に坂本さん(八戸北高1年) 新聞配達エッセーコン
日本新聞協会は30日、第28回新聞配達に関するエッセーコンテストの入賞作品を発表した。青森県内では、中学生・高校生部門で、県立八戸北高1年の坂本凜音(りおん)さん(16)が審査員特別賞に選ばれた。坂本さんは、新聞配達を始めた友人が生き生きとしていく様子を見て、自分も変わってみたいと思う素直な気持ちを描いた。
同コンテストは、新聞配達や販売店スタッフとの触れ合いに関するエピソードについて、「大学生・社会人」「中学生・高校生」「小学生」の3部門で募集。今回は全国から3879作品の応募があった。
坂本さんは、アルバイトで新聞配達を始めた友人との会話から、新聞配達という仕事への印象が変わったことや、友人の変化に驚いた気持ちを表現した。
当初、友人から新聞配達を始めたと聞いたときは、「女子高校生がやるイメージがなかったので、大変そうだし、友人が朝起きられるか心配した」というが、配達中に気付いたことを楽しそうに話す友人を見て、自身も早起きし、近所を散歩するようになった。
早朝の街の良さを知るきっかけになったほか、この出来事を通じて、配達に携わる人への感謝や新聞を読むことへの興味が増したという。
受賞について「まさか選ばれるとは思わず、とても驚いた。友人もきっと喜んでくれると思う」と笑顔を見せた。
県内ではこのほか、小学生部門で弘前市の高山京慧(たかとし)君(10)が入選した。
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「私、新聞配達始めたの」
坂本凜音(りおん)さん(16)=県立八戸北高1年=
「私、新聞配達始めたの」。笑顔でこう言ったのは、私の友人だ。私は、自分の耳を疑った。あんなに朝に弱く、いつも寝坊するような人が新聞配達をできるのだろうか。
「朝、起きられるの」と私は友人に尋ねると、「そう。最近、早起きできるようになったの。それでね……」とうれしそうに話し始めた。
どうやら、新聞配達を始めてから、良いことがたくさんあったそうなのだ。朝の空気は少し冷たく、ヒヤッとして気持ち良いらしい。そして、人が少ないから貸し切り状態だとか、配達先の寝ている犬の姿がかわいいとか、息つく間もなく語っている。
疲れないのか私が尋ねると、「もちろん疲れるけど、楽しい」。曇りない笑顔で言った。
私の友人は、新聞配達で変わった。新聞配達は、疲れるし、早起きしないといけないし、嫌なことがたくさんだと思っていた。これは間違っていた。新聞配達で人は変わる。友人が変わったように私も。次は私が言う。
「私、新聞配達始めたの」