Free縄文遺跡群が世界遺産 ユネスコ委で決定、国内25件目 人類史上まれな遺産として価値
オンラインで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は27日、青森県など4道県の17遺跡で構成する「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録を決定した。国内の世界文化遺産として最も古く、人類史上まれな農耕を伴わない定住社会や精神文化を伝える貴重な遺産として世界に価値が認められた。国内の世界遺産(文化、自然)では、26日に自然遺産登録が決まった「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄)に続き25件目となった。
同遺跡群は、住居や祭祀(さいし)の場で構成する三内丸山遺跡(青森市)のような集落跡、大湯環状列石(秋田県鹿角市)に代表されるストーンサークルなどで構成。北奥羽地方では、共同の墓地や祭祀場である是川石器時代遺跡(八戸市)、東北有数の大規模な貝塚を伴う二ツ森貝塚(七戸町)、火を使った祭祀を行っていたと推定できる、獣の骨などが見つかった御所野遺跡(一戸町)がある。
定住が始まり、集落や施設が多様化していく約1万年間の様子を切れ目なく示しているのが大きな特徴。葬送や祭祀の跡、精緻な出土品からは、複雑な精神文化がうかがえる。
27日の世界遺産委員会では、委員国計21カ国の代表が全会一致で登録を決定。縄文遺跡群世界遺産登録推進本部長を務める青森県の三村申吾知事は、オンラインで「世界遺産が決定し、大変うれしく思う。今後は訪れた方に感動を与えられるよう、関係者が連携して取り組む」と感謝の言葉を述べた。
岩手県庁で委員会の審議中継を視聴した達増拓也知事は「遺跡は地元が努力して守ってきたもの。それが世界遺産として認められ、本当にうれしく思う」と喜びを語った。
世界遺産登録を巡っては、2007年に4道県が共同提案を正式合意。09年に、登録の前提となる文化庁の「暫定一覧表」にリスト入りした。その後、13年から5年連続で国内推薦を見送られるなど苦難が続いたが、国は19年に推薦を閣議了解。ユネスコ諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が20年9月に遺跡の現地調査を行い、「定住社会の発展段階や環境変化への適応を示している」などとして、今年5月下旬にユネスコに登録するよう勧告していた。
青森県内の世界遺産登録は、自然遺産の「白神山地」(1993年登録)に続き2件目。