Free岩手県北の木炭スイスへ 販路開拓へ試験輸出開始
岩手県北地方の木炭生産者でつくる北いわて木炭産業振興協議会(久慈市、藤森茂会長)は9日、スイスへの岩手木炭の試験輸出を開始した。同協議会を通じた輸出は初めて。高品質な岩手木炭の海外での認知度を高めるとともに、新たな販路として本格的な取引につなげたい考えだ。
出荷先は、スイス・チューリッヒで日本のしちりんなどを取り扱うマルゴーニー社。品質などを確かめる試験輸出として、久慈市の谷地林業(谷地譲代表)が手掛けた切り炭500キロを出荷する。今月中に空輸で現地に到着する予定。
高級レストランで使用する日本産の良質な木炭を探していたマルゴーニー社から谷地林業に問い合わせがあり、商談が進んだ。将来的な需要増を見据え、単独ではなく協議会が取引する形にしたという。
ナラなどを使った岩手木炭は炭素成分が多いため火持ちが良く、煙が少ないのが特長。岩手県の木炭生産量は全国1位で、その大半を県北で生産している。2018年には国の「地理的表示保護制度(GI)」に登録された。
県によると、本年度は県木炭協会(盛岡市)でも商社を通じて米国に100キロ、台湾に180キロを輸出しているが、数量はまだ少なく、本格的な取引には至っていない。
9日は同市山形町の谷地林業で第1便の出発セレモニーが行われ、関係者が炭を詰めた段ボール箱を梱包してトラックに積み込んだ。藤森会長は「海外での評価は生産者の励みになる。これを契機に、国内外でさらなる需要拡大に努めたい」と期待を込めた。