Free真っ白い外観お目見え/八戸市新美術館 今秋オープンへ大詰め
八戸市が市庁前に建設中の新美術館の本棟工事が昨年12月末に終了し、大きな白い外観が姿を現した。現在は、施設内の環境が収蔵品に与える影響を調べる「枯らし」と、美術館前に広場を整備するために旧青森銀行八戸支店の解体工事に着手しており、今年秋ごろのグランドオープンを目指して準備が大詰めを迎える。一方、新美術館のコンセプトは分かりにくさも否めず、市民の機運を高められるかが課題となりそうだ。
新美術館は2019年4月に着工。地上3階建てで延べ床面積は4881平方メートルと旧美術館の約3倍の広さになる。本棟工事費は約32億円に上る。
周辺では一帯の開発も進み、昨年9月には、市と協調開発で合意している青銀の八戸支店が移転オープン。着々と進むハード整備を受け、市は2月上旬に館内に新美術館建設推進室の事務室を移し、開館に向けた準備を加速させる考えだ。
新美術館は「種を蒔(ま)き、人を育み、100年後の八戸を創造する美術館~出会いと学びのアートファーム~」をビジョンに掲げる。ラーニングセンター(学びの拠点)として活用を促す方針で、館内には美術品を展示する「コレクションラボ」のほか、市民が自由に集まって学び活動する巨大空間「ジャイアントルーム」などを設ける。
展示や調査研究といった従来の美術館機能に加え、アーティストと美術館スタッフ、市民が一緒に考え、創作することも想定。アートを通じて、まちや人を“育て”、磨いた感性を地域課題の解決などに役立てることを描く。
ただ、こうしたコンセプトについて、市民からは複雑で分かりにくいとの声も漏れる。創作活動の場として中心街には既に「はっち」があり、美術館の必要性についてさらなる周知も必要になりそうだ。
枯らし期間中でもジャイアントルームなどは使用できるため、市は夏ごろをめどに館内で市民対象のワークショップなどプレイベントを開催する考え。市新美術館建設推進室の高森大輔室長は「市民への周知を含め、オープンに向けてしっかりと準備を進めたい」としている。