Free【Dashセレクション】きょうはデーリー東北マッチデー!ヴァンラ―レ八戸・中谷喜代志選手

中谷喜代志(右から2人目)
中谷喜代志(右から2人目)

2018年、当時JFLだったヴァンラ―レに加入し、J3昇格に大きく貢献したDF中谷喜代志(29)。19年5月以降は原因不明の腰痛に悩まされ、長期の療養を余儀なくされた。それでも痛みと向き合い続け、ついに克服。9月2日の第13節、公式戦のピッチに立った。不屈の闘志で約1年5カ月ぶりに復活を遂げたDFは「勝利に貢献するため戦い続ける」と気合十分に今後を見据える。

 (10月8日発行の月刊スポーツマガジンDash10月号から記事をセレクトしてお届けします)

 ■海外で成長

 大学卒業後の2014年、「選手として成長したい」と、単身、海外へ渡った。入団したのは、東欧のポーランドリーグ3部チーム。約半年後にはラトビアのチームへと移籍し、2チームで計1年間を過ごした。海外で得たのは「挑戦して失敗しても、みんな気にしない。むしろそれが当たり前という風潮だった」。挑戦を恐れず相手選手と激しくマッチアップするプレースタイルが培われた。

 帰国後は、チームに所属できないまま1年間を過ごした。引退を考えたこともあったが、諦め切れなかった。そんな時、知人のつてでJFLのFC大阪と契約し、16年から2年間プレー。当時、JFLだったヴァンラーレ八戸とも同じステージで戦った。

 ■昇格の力になりたい

 八戸での“アウェー戦”で印象に残ったことがあった。スタンドで声援を送る八戸サポーターの姿だ。「温かい声援、Jリーグ昇格を目指している熱気を感じた。昇格の力になりたい」。八戸側からのオファーもあり、17年12月、移籍を決断した。

 当時の八戸はJ昇格へJ3公式戦の開催要件成績要件(年間4位以内)という大きなハードルを残していた。正念場の18年シーズン中は3バックの一角としてプレー。身長170センチと小柄ながら、上背のある相手にも気後れせずに競り合い、魂のこもった激しい守備でチームに貢献し続けた。

 11月の第2ステージ第14節、ヴィアティン三重戦もフル出場で気迫満点のプレーを見せた。八戸リードで迎えた試合終了を告げるホイッスル。成績要件を満たし、J昇格が決まった。「サッカー人生で最高の瞬間だった」

 ■試練乗り越え復活

 試練は突然だった。J3開幕から間もない19年春、室内練習場で調整していた際、突然腰に痛みが走った。「歩くのも、座っても寝ていてもつらかった。上半身と下半身がばらばらな感じ」。八戸市内の病院を回ったが、原因不明。ヘルニアの治療でも一向に良くなる兆候はなかった。「選手として復帰できないか…」。思い悩む日々が続いた。

 昨年11月、チームの紹介で静岡県のあるスポーツトレーナーを訪ねた。これが転機となった。トレーナーの助言に従って治療を続けると、次第に痛みが和らいだ。チームスタッフと二人三脚で戦線復帰に向けたリハビリを開始。「できることを少しずつ増やしていった」。今年7月、やっと全体練習に合流した。

 復活の日はやって来た。先月2日のホーム戦。後半途中からアナウンスとともにピッチに足を踏み入れた。苦労を知るサポーター、ピッチ内の仲間から声を掛けられた。「お帰り」。それまでの苦労が吹き飛んだ。

 不屈のDFは今後、成績が低迷するチーム浮上の力になる決意だ。「J3のFWは技術もある。自分が戦うだけでなく、周囲と連係しながら、押さえられるようにしたい」

 ※Dash10月号は、開幕を迎える青森ワッツが第1特集。第2特集はシーズン本番のアイスホッケーで、高校、中学の全チーム紹介!

 ほかにも内容盛りだくさんです。

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中谷喜代志(右から2人目)

 
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