Free【貨物船沈没】捜索続くも13人依然不明、船は引き揚げない方針
2月下旬に六ケ所沖で、ベリーズ船籍の貨物船「GUO XING 1(グオシンワン)」と、八戸市の富丸秋山漁業所有の沖合底引き網漁船「第8富丸」が衝突し、貨物船が沈没した事故は7日で発生から1週間が経過した。第2管区海上保安本部(塩釜)などが行方不明になっている貨物船の外国人乗組員13人の捜索を続けているが、6日午後9時現在、見つかっていない。同保安本部は貨物船の右舷部と漁船の船首が衝突したとの見方を強めており、漁船の調査や乗組員への聴取などで事故原因の特定を進めている。一方、沈没した貨物船については、海底までの水深が450メートル以上と深いことから、引き揚げは行わない方針だという。
事故は2月29日午後10時15分ごろ、同村の泊漁港から東約12キロの沖合で発生。貨物船は鉄くず3150トンを積み、八戸から津軽海峡を通って韓国へ向かう途中だった。中国人とベトナム人、フィリピン人の計14人が乗船しており、このうちベトナム人男性(33)1人が救助された。
漁船は八戸機船漁協(八戸市)所属で、日本人とインドネシア人の計15人が乗船。津軽海峡での漁を終えて八戸へ戻る途中で事故に遭い、漁労長の男性(73)が頭部に軽いけがをしたが、既に退院した。
同保安本部によると、救助されたベトナム人男性は事故当時の状況について「貨物船の右舷側に漁船が突き刺さっているように見えた」などと証言。また、漁船の乗組員などへの聞き取りから、事故当時は漁労長が1人で操船していたとみられる。国の運輸安全委員会は2~3日に八戸港に船舶事故調査官を派遣し、漁船の船体や航跡データなどを調査した。同保安本部は業務上過失往来危険罪の適用も視野に捜査を進めている。
一方、富丸秋山漁業は八戸港の第一工業港に係留している漁船の修理に着手。6日も作業員が溶接などの作業に当たった。同社の秋山博樹専務は取材に「貨物船の乗組員が見つかっていないのが気掛かり。早く発見されることを願っている」と話した。