Free都内でも給食に「せんべい汁」 実は20〜30年前から提供?

給食のせんべい汁を食べる平成小の児童

北奥羽地方を代表する食文化の一つ「せんべい汁」。言わずと知れたソウルフードだが、実は東京都内でも学校給食として親しまれていることはあまり知られていない。提供が始まった時期や理由は定かではないが、随分前からメニューに加わっているという“証言”もある。

 全校児童224人の台東区立平成小。3月中旬、給食時間に教室を訪ねると、子どもたちがせんべい汁をおいしそうに頰張っていた。

 6年生の男子児童は「初めて食べた時は『何でせんべいが汁に入っているの』と驚いたけど、今は好きです」。女子児童は「せんべいがもっちりしていておいしい」と笑顔を見せた。人気メニューのようで、お代わりする児童の姿も。食缶は空になっていた。

平成小で提供された給食=3月中旬
平成小で提供された給食=3月中旬

平武志副校長(48)=八戸市出身=によると、同校は学校ごとに作る「自校給食」を導入しており、栄養士が汁物の献立として考案した。これまでに勤務した別の学校でもせんべい汁はメニューにあったが、自身が八戸出身であることは関係ないという。

 都内で給食の食材を提供する食品会社2社に取材すると、両社の営業エリアの中でも、北、荒川、中央、港など複数の区の一部学校で提供されていることが分かった。給食に採用されている理由については、両社とも「注文を受けた食材を届けているので、よく分からない」。

 ただ、平さんは「調理がしやすく、嫌いな人が少ない味だからではないか」と推測。都内では20~30年前ほどからメニューに入っていると思う-とも話した。

 明確な理由と時期は不明なままだが、平さんは「せんべい汁はもはや単なるご当地グルメではない」と、どこか誇らしげ。都内でもせんべい汁が子どもの頃から親しまれていると喜び、「青森の食がどんどん広がっていってくれれば」と願った。

 
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