Free【震災14年】北奥羽各地で犠牲者追悼 祈り胸に、未来見つめ

東日本大震災から14年。津波で甚大な被害を受けた野田村では、多くの人が大津波記念碑に献花し、鎮魂の祈りを捧げた=11日、同村野田
東日本大震災から14年を迎えた11日、津波で大きな被害を受けた北奥羽地方の各地で追悼行事が営まれた。沿岸部のハード面の防災対策が進み、日常的な平穏を取り戻す中、被災者らは忘れ得ぬ震災の衝撃や悔恨、復興支援への感謝など複雑な感情を思い返しつつ、犠牲者の鎮魂を祈った。
津波により北奥羽地方で最も多い37人が犠牲となった野田村では、震災復興の歩みを伝えるウオークイベントや、復興支援者らによる全国各地の災害支援報告会などが行われた。
追悼行事会場の記念碑には、午後2時ごろから遺族や支援者らが次々と参集。顔見知り同士で旧交を温めたり、新たな家族の誕生を祝福したりと、和やかな雰囲気に包まれた。記念碑の高台から見下ろす沿岸には1月、久慈工業高生が制作したフォトスポットも整備されるなど、一帯は新たな役割を担いつつある。
発生時刻の同2時46分が近づくと、会場には静寂が広がり、追悼のサイレンが鳴り響く中、来場者は太平洋に向かい、犠牲者に黙とうをささげた。
同村の元復興支援員である町田恵太郎さん(42)=東京都出身=は現在、村への本格的な移住を予定。「津波は怖いけれど、野田の魅力はやっぱり海。村のために何ができるか考えていきたい」と話した。

同5時からは愛宕参道広場で、村内外の子どもたちのメッセージをキャンドルでともす恒例行事「夢あかり」を開催。震災の記憶を持たない村立野田小、野田中の子どもたちも現場で作業を手伝いながら、「当たり前に生活できる今を大切に生きる」「亡くなった人を忘れない」など、自らが記した言葉の意味を改めてかみ締めていた。