Free歌声、天国に届け テノール歌手山谷さんしのぶ 八戸でコンサート

山谷常雄さんをしのび、「早春賦」を一緒に歌う出演者と聴衆
天国に歌声を届けよう―。昨夏亡くなった前青森県声楽研究会会長の山谷常雄さんをしのぶメモリアルコンサートが9日、「SG GROUP ホールはちのへ(八戸市公民館)」で開かれた。同研究会八戸支部の会員が、音楽を愛した故人を懐かしみながら、多彩な楽曲を心を込めて歌い上げた。
山谷さんは、つがる市(旧森田村)出身で、八戸市に居住していたテノール歌手。武蔵野音楽大研究科(現大学院)卒業。文化庁第1回海外音楽研究派遣メンバーとして、1967~68年にイタリア・ミラノに留学した経験も持つ。県内外で精力的にリサイタルを開催したほか、後進の育成にも尽力。76年には県声楽研究会を立ち上げ、78年から亡くなるまで会長を務めた。
コンサートには、谷地璃瑚さん、油川怜子さん、成田卓弥さん、岡山美津子さん、前川原祐子さん、山上里美さん、十日市広志さん、畑井繁子さん、沢田京子さんの9人が出演。第1部では「荒城の月」「宵待草」などの日本歌曲14曲、第2部では「オンブラ・マイ・フ」「アヴェ・マリア」などの外国歌曲やアリア計9曲を披露した。
最後に、出演者を代表して同研究会会長でもある沢田さんが「山谷先生は本当に歌が大好きな方。今日は降りてきて、会場で静かに聴いてくださっています」とあいさつ。山谷さんが生前、指揮を執り、自らも歌っていたという曲「早春賦」を、会場に呼びかけて出演者と聴衆で一緒に歌い、コンサートを温かに締めくくった。