Free着物リメーク、訪日客向け販促へ共同研究 いずみ(久慈)と岩手大、AI活用

共同研究開始に当たって意気込む(右から)盧忻助教、松尾陽介代表、壽松木亨代表、小谷地忠志所長=12日、久慈市
共同研究開始に当たって意気込む(右から)盧忻助教、松尾陽介代表、壽松木亨代表、小谷地忠志所長=12日、久慈市

久慈市の縫製企業いずみ(壽松木(すずき)亨代表取締役社長)は今春から、同社企画ブランド製品のインバウンド(訪日外国人)への販売促進に向け、AI(人工知能)を活用した消費者ニーズの把握などについて、岩手大との共同研究に乗り出す。壽松木代表は「AIで最適な販売方法、デザイン、価格設定などを分析し、より売れる可能性の高い商品を作って世界に発信したい」と張り切っている。

 12日は壽松木代表のほか、企業マーケティングなどを手がける「OMATSURI」(東京)代表で元お笑いコンビ「ザブングル」の松尾陽介さん、糸類の生産販売などを行うシラカワ(東京)の小谷地忠志盛岡営業所長と、岩手大理工学部の盧忻(るうしん)助教が久慈市内で会見、発表した。

 いずみは着る機会が少なくなった和服に関し、松尾代表の独創的なデザインと同社の高い縫製技術でリメークした企画ブランド「wappi(わっぴ)」を2023年に立ち上げた。元々の柄を生かしつつ、日常でも着られるスカジャンやシャツなどに仕立て直し商品化。和服に新たな価値を付加し、中国人らに人気という。

 同社ではこれまで、海外での商談会などで商品の魅力をアピールする一方、インバウンド客の消費動向にも着目。インバウンド客に特化した販促に向け、より効果的な商品訴求手法を検討する中、今年4月から盧助教らとタッグを組んで研究することになった。

 共同研究では、岩手大側がAIを活用したインバウンド市場の分析、生産プロセスの最適化を行い、着物リメークの効率化を目指す。市場調査でインバウンド客の着物の好みや人気のデザインなどを捉え、需要に応じたデザイン開発を可能にする。生地の無駄の削減にもつながるという。

 縫製後の検品工程にもAIを導入し、品質管理の自動化による作業負担の軽減、より高品質で安定した商品の供給を実現する。

 縫製産業が盛んな県北地域にあって、ブランド価値を高めるモデルケースとして成果が注目される。壽松木代表は「まずは年内に何か形にできれば」と話している。
 

 
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