Free伝統的酒造り無形遺産登録 ユネスコ決定、国内23件目
【アスンシオン共同】南米パラグアイで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会は4日(日本時間5日)、日本酒や本格焼酎などの「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録した。各地の風土に応じて杜氏(とうじ)や蔵人らが築き上げた独自の技術の価値を認めた。日本からの登録は2022年の豊作祈願や厄払いの「風流踊(ふりゅうおどり)」以来23件目。国内消費が縮小する中、関係者らは登録を機に輸出拡大や地域活性化、技術の継承につなげたい考えだ。
政府間委員会は決議で、伝統的酒造りの知識と技術が「社会にとって強い文化的意味を持つ」と指摘。祭事や婚礼といった日本の行事に酒が不可欠で、酒造りが地域社会の結束に貢献しているなどと評価した。
ユネスコ日本政府代表部の加納雄大大使は登録決定後のスピーチで「神々からの神聖な贈り物とみなされる酒は、日本の社会的・文化的行事に欠かせない。登録を契機に、無形文化遺産への関心がさらに高まると確信する」と述べた。
伝統的酒造りは、カビの一種のこうじ菌を使い、蒸したコメなどの原料を発酵させる日本古来の技術。各地で杜氏らの手作業によって洗練され、継承されてきた。複数の発酵を同じ容器の中で同時に進める製法は、世界でも珍しいとされる。
この手法で造る酒には日本酒や本格焼酎、泡盛のほか、もち米と焼酎を使って甘みを引き出す本みりんなどがある。
政府は伝統的酒造りを21年に国内の登録無形文化財として選定し、22年にユネスコに申請。日本の無形文化遺産は他に「歌舞伎」や「和食」などがある。政府は酒造りに次いで「書道」も申請しており、審査は26年秋ごろの見通しだ。
アルコール関連の無形文化遺産には「ベルギーのビール文化」やモンゴルの「馬乳酒」などがある。