映画が街の一大娯楽だった時代の懐かしい雰囲気が漂う、一戸町の劇場「萬代舘（ばんだいかん）」で１３日、第２８回カシオペア映画祭が開かれる。テレビドラマ「孤独のグルメ」の主人公・井之頭五郎役などで知られる、俳優の松重豊さんの出演３作品を上映。いずれも岩手県内の劇場で初公開となる。松重さんもゲストで来場し、上映後にトークショーを行う。

　萬代舘は１９０９（明治４２）年に創業した、県内最古の現役映画専用館で、国登録有形文化財に指定されている。映画祭は歴史ある劇場を活用して地域活性化を図ろうと、「萬代舘」利活用事業実行委員会が毎年開催。今年は人気俳優の松重さんを招き、２年後の第３０回の節目に向けて機運を盛り上げる。

　松重さんはドラマで演じた井之頭五郎が当たり役に。来年１月には主演に加え監督、脚本も務めた「劇映画　孤独のグルメ」の全国公開を控えており、今回の映画祭出演は県内外のファンの注目を集めそうだ。

　作品は上映順に、若手時代の映画デビュー作で、黒沢清監督のホラーサスペンス「地獄の警備員」。小林聡美さん主演の温かなヒューマンドラマで、松重さんが助演した、平山秀幸監督の「ツユクサ」。男性の不妊治療をテーマにした主演作で細川徹監督の「ヒキタさん！　ご懐妊ですよ」。

　同祭実行委員長の冨田圭さん（５９）は「ホラーからヒューマンドラマまで、多彩な役を演じる松重さんの表現力をスクリーンでぜひ見てほしい。トークショーもお楽しみに」と話す。

　当日は開場午後０時半、開演午後１時、午後７時からトークショーを開く。前売り券３千円（町コミュニティセンターなどで販売）、当日券３５００円。中学生は千円割り引く。小学生以下無料。

　問い合わせは「萬代舘」利活用事業実行委員会（町商工観光課内）＝電話０１９５（３３）２１１１＝へ。電話でのチケット予約が可能だ。