Free【chou chou10月号 Pickup】ワインに合うパン
パンを焼いてみたいけど、おいしい作り方が分からない。こんな思いを漠然と抱いていた時にネットで目に留まったのが、八戸市地域おこし協力隊員の津久井章弘さんが講師を務めるパン作り体験教室でした。
「ワインに合うパン」「農産物を使ったパン」など興味をそそる内容。問い合わせてみると、津久井さんが参加者の希望を聞きながら一緒にレシピを考え、それぞれが自分好みのパンを作れると知りました。
ただ、ワインに合うパンの組み合わせの解は一つではなさそうです。なじみの食材の中から、自分で相性の良い物を見つける楽しみがあるといいます。秋の食卓で、あなたは何をマリアージュしますか?
地域おこし協力隊員の津久井章弘さんは、2023年3月に川崎市から八戸市内へ移住しました。フランス食材の専門輸入商社での機械販売、ベーカリー経営・製造の経験があり、八戸ワインの振興を目指して協力隊員に応募。ものづくりが好きで、元々ワインの製造に興味があったことや、妻が同市出身だったことから、長く勤めた会社を53歳で辞めて新たなチャレンジを始めました。
仕事やプライベートで何度もフランスに足を運んできた津久井さんに、「ワインに合うパンは何ですか?」と伺ったところ、「白米に合う日本酒は何ですか?」と逆質問を受けました。確かに、パンは主食です。そのため、欧米で単にパンとワインだけで食事することはほとんどなく、他の食材と組み合わせながら相性が良いものを見つけていくそうです。
さらに、極端に合わないものを除けば、決まったルールはないとのこと。実際、津久井さんが今年、ワインの醸造の勉強のためにフランスを訪れた際、滞在のお礼に生産者に振る舞った料理は、手巻きずしや唐揚げ、豚のバラ焼き、煮卵、おしんこなど日本の家庭料理。何本ものワインを空けながら喜んで食べてくれたそうで、「現地の生産者がワインと日本の家庭料理をおいしそうに食べてくれてうれしかった。人それぞれ好みがあるので、自分が食べてみておいしいと思うものを探してみてほしい」と話します。
また、イカでチーズを挟んだ八戸の土産品「なかよし」も好評だったようです。それでも、何かマリアージュのコツはないかと尋ねると、香りが強い料理にはワインも強めのもの、香辛料が効いた料理にはスパイシー系のワインなど、食材とワインの風味を合わせることがポイントだと教えてくれました。
津久井さんは今後、自然派ワインを製造したいと考えており、南郷にある自身の畑でヤマブドウの自然栽培を今年から始めました。ほかにも、フランスに多い食料品店の業態でお酒や惣菜を販売する「エピスリー」を開く夢があり、まだまだ挑戦は続きそうです。
ワインに合うパンを探した今回の特集。マリアージュ(mariage)は本来、フランス語で結婚を意味する言葉で、二つの異なるものが調和している状態を指します。おいしいワインを手に入れたら、それに合わせたパンとおかずを探す。自分なりのおいしい組み合わせを見つけるのも一つの楽しみ方かもしれません。
【農産物を使ったPAIN(パン)づくり体験教室 information】
野菜を活用したパンやワインに合うパンの教室です。参加者は講師と一緒に各自オリジナルレシピを考え、「短時間でつくるパンづくり」を体験できます。このほか、運営側が材料を用意し、参加者全員で同じパンを作る「初心者コース」もあります。
でんわ:0178-27-9163
(八戸市農業経営振興センター経営支援グループ・生産振興グループ)
e-mail:nokei@city.hachinohe.aomori.jp
※本紙生活情報誌シュシュ10月号の特集記事をウェブ用に再編集しました。