Free地域のDX推進支援が始動 本社と近田会計事務所、八工大

卒業研究としてDXに取り組む関口結実さん(中央)と、支援する近田会計事務所、デーリー東北新聞社のメンバー=10日、八戸市
卒業研究としてDXに取り組む関口結実さん(中央)と、支援する近田会計事務所、デーリー東北新聞社のメンバー=10日、八戸市

デーリー東北新聞社と八戸市の近田会計事務所(山本秀典代表取締役社長)、八戸工業大学(坂本禎智学長)は、地元中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するプロジェクトを始めた。第1弾として、八工大生の卒業研究の一環で、実際の企業の業務効率化に取り組む。将来的には、DXを軸にした地域ビジネスの活性化やデジタル人材の地元定着にもつなげたい考えだ。

 3者は青森県や市主催のデジタル関連のフォーラムなどを通じ交流を深め、構想を膨らませてきた。

 近田会計事務所は近年、人材不足や後継者問題を抱えた顧客企業を目の当たりにし、DXの必要性を実感。総務部経営企画室の土橋一哉さんは「組むのであれば地元事業者との方がお客さまのためになる」と、本社との連携の狙いを語る。

 一方、本社はクラウドサービスなどを利用した社内DXを推進。培ったノウハウを地元企業の課題解決に生かせないか―と模索していた。システム開発部の十文字孝太次長は「多くの企業が業態転換に迫られる中、壁はなくなってきており、異業種同士の方がメッセージを発信できる」と話す。

 プロジェクトは今月初旬から本格化。同大工学部工学科4年の関口結実さん(23)は既に市内の鉄工所からヒアリングを終え、生産性向上や省力化につながる課題を抽出。本社と同事務所メンバーの支援の下、年内に開発や実装を終える予定だ。

 関口さんは「今回は卒研という形だが、日頃から『もっと(暮らしを)スマートにできないのか』という疑問を持つ中で、DXには関心があった」とした上で、「皆さんの知識を借りながら乗り越え、自分の力にしたい」と意気込む。

 土橋さんは今後の展望について、「人手不足が進めば、経営の端々に『デジタル』を組み込む必要が出てくる。そのお手伝いができる人材を育成できれば」と語った。

 
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