Free「ハイキュー!!」“聖地”の軽米町に「待った」 著作権問題で慎重対応へ
高校バレーボールを題材にした人気漫画「ハイキュー!!」の“聖地”として国内外から多くのファンが訪れている軽米町が、「表立って作品のタイトルを使った催しや情報発信を行うのは、著作権侵害の恐れがある」と、出版社や映画配給会社から指摘を受けていたことが4日、分かった。ブームを地域おこしに生かそうとしてきた町は、直接的なPRが難しくなる中、交流人口拡大に向けた手だてを模索する。
同日の町議会定例会の一般質問で、聖地巡礼の対応について中村正志議員が質問したのに対し、山本賢一町長らが明らかにした。
漫画の舞台は宮城県だが、主人公が通う高校をはじめ登場するさまざまな場所が町内の景色と似ていることで評判を呼び、海外からも多くのファンが足を運ぶ。
町によると、アニメ配信に加え、今年は新作映画の大ヒットで来町者が増加。2月中旬にかるまい文化交流センター(宇漢米(うかめ)館)に開設した撮影スポットは好評で、8月末までに延べ約6400人が訪れた。
ブームを生かし、町は観光誘客やにぎわい創出につなげようと模索。映画を配給する東宝や、漫画を出版する集英社に相談してきた。しかし8月に入り、両社からは作品タイトルを使うことに慎重な対応を求められたという。
交渉に携わった江刺家雅弘副町長は取材に「交流人口の拡大につなげようと動いたが、今は足踏み状態。作品を催しなどに活用すると、使用料も大きいので難しい」と残念がる。
一方、今後も訪れるファンの受け入れ態勢は充実させたい考えだ。10月中旬の県立軽米高の文化祭では、聖地スポットの一つである校舎が一般開放される日とあって、例年多くのファンが集まる。「今年も(校舎近くの)町民体育館を開放し、手荷物の預かりなどに対応して楽しめる環境づくりに協力したい」と話す。