Free【パリ五輪】六戸発、日本選手の公式服 開幕まで1カ月、発送ピーク

六戸町の「エスポワール」が手がけるパリ五輪とパラリンピック日本代表のジャケット。「生地が白だと何かと気を遣うが、全世界から注目されると思うと気が引き締まる」と蹴揚勇也専務は話す=19日、六戸町
六戸町の「エスポワール」が手がけるパリ五輪とパラリンピック日本代表のジャケット。「生地が白だと何かと気を遣うが、全世界から注目されると思うと気が引き締まる」と蹴揚勇也専務は話す=19日、六戸町

六戸から世界の舞台へ―。パリ五輪開幕まで26日で1カ月。六戸町七百地区にある縫製加工業「エスポワール」(蹴揚敏美社長)では、五輪の日本代表選手が開会式で着用する「公式服装」のジャケットの発送がピークを迎えている。役員やパラリンピック選手用も含め、男性用ジャケット約700着を受注。自らも製作に当たる蹴揚勇也専務(43)は「納期はタイトだがなんとか間に合わせたい」と追い込みをかける。

 従業員24人の同社は、主にホテルの制服を手がけるほか、大量生産の工場にはできない手作業による細かな要望に対応し、人気バンドTUBE(チューブ)といったアーティストのコンサート用衣装や舞台衣装などをオーダーメードで請け負っている。

 五輪関係では、2012年のロンドン大会、16年のリオデジャネイロ大会で、日本代表選手が着用するジャケットを受注。裁断から縫製、仕上げまでを一貫して行った。

 今回は総合ユニホームメーカーから注文を受け、白を基調に、布の端をテープ状でくるむ赤のパイピングが特徴のジャケットを製作。通気性の良い、伸び縮みするストレッチ素材が使用され、胸ポケットには「TEAM JAPAN」のワッペンが光る。

 「今は八村塁選手用の裁断をしています」。身長2メートルを超えるバスケットボール選手から、比較的小柄な体操選手まで、個人それぞれの採寸表通りに作業を進める。蹴揚専務は「生地が白だと何かと気を遣うが、全世界から注目されると思うと気が引き締まる」と目の色を変える。

 20年からの新型コロナウイルス禍でホテルからの受注が大幅に減少。21年の東京大会では、ジャケットのサンプルを作製したものの、受注には至らなかった。

 「今回の受注をきっかけに、六戸発の縫製技術を世界の人たちに見てもらえたら」と蹴揚専務。開会式でセーヌ川を行く日本代表選手団を思い浮かべながら、残る代表内定選手分の発送に向け、手作業を続ける。

 
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