Free【chou chou7月号 Pickup】海辺とおにぎり 八戸市の「ままかせ亭」
本格的な夏の始まり。太陽が照りつける日は、街を抜け出して、海辺に出かけたくなります。波の音を聞きながら遠くを眺めていると、心地良い風が通り抜けていきます。
今月の特集は、海辺で頬張りたいおにぎりのお話です。八戸市の種差海岸芝生地近くにある「ままかせ亭」は、おにぎりが人気のテイクアウトのお店。店主の松村陽子さんが、海の幸をふんだんに使った炊き込みおにぎりを握っています。
おにぎりが結ぶ、一つ一つの縁。近所の人たちからも、市内外のファンからも愛される、小さなおにぎりスタンドの物語に触れてみてください。
八戸市の種差海岸芝生地からほど近くにある「ままかせ亭」は、おにぎりが看板メニューのテイクアウト専門店です。店主の松村陽子さんに、お店のことや、おにぎりに込めた思いを教えていただきました。
【母としての目線から生まれたお店】
種差海岸の芝生地から続く道を、車で走ること約3分。左手に小さなお店が現れます。名前は「ままかせ亭」。ウニ、サバ、ホヤをはじめとする海の幸を炊き込んだおにぎりのほか、唐揚げやフライドポテト、かき氷などを販売しています。
店主は近くに住む松村陽子さん。3人の子の母でもある松村さんは、地域にスーパーや商店がないことから「地域の子どもたちが子ども同士で買い物できる場所があれば」と考えていました。自身が子どもの頃、友達とおやつを買って過ごした思い出が、かけがえのないものだからです。
近所の人たちが気軽にお昼ご飯を買えるような場所があったらという思いもあり、2022年6月にお店をオープンさせました。
オープン当初、おにぎりはあくまでいくつかあるメニューの一つ。「『珍しいおにぎりだね』と言われると面白くなって、どんどん種類が増えていった」と松村さんは振り返ります。
【八戸の魚介をふんだんに使って】
現在、おにぎりのメニューは11種類あり、その中から5、6種類ずつ日替わりで提供しています。「ご飯をおいしく炊くことと、魚介はできるだけ八戸で取れたものを使うことにこだわっています」。松村さんはこう話します。
一番人気はウニ。旬の時季に新鮮な身を冷凍しておき、塩ウニを作る過程で発生するウニのエキス「かぜ水」と一緒に炊き込みます。刻んだしそと白ごまをまぜ、ふっくらと握れば出来上がり。ウニがたっぷりと入っていて、同店ならではのぜいたくな一品です。
海の幸を炊き込んだおにぎりのほかに、梅やツナマヨ、昆布などの具材を入れ、のりで巻いたポピュラーなおにぎりも。特に多くの人が買い求めるのが、自家製梅を使ったおにぎりです。
自家製梅は、松村さんが南部町の神社からあんずの「八助」を譲ってもらって漬けています。おにぎりに合うように、ほんのりと甘く優しい味わいに仕上げています。
【種差海岸を訪れるきっかけをつくりたい】
店名の「ままかせ亭」は、南部弁の「まんまかせたい(おいしいごはんを食べさせたい)」に由来しています。「もしおにぎりを作っていなければ、出会っていない人がたくさんいる。私にとって、おにぎりは縁をつないでくれるもの」と松村さんは語ります。
毎週末のように梅のおにぎりを買いに来てくれる近所の子、家族へのお土産として買っていってくれるお客さん。オープンしてからおにぎりが、一人一人との縁を運んでくれました。
ままかせ亭を目指して、八戸市内外から種差海岸に来る人も増えました。「種差の良さ、食材のおいしさを感じてもらって、種差を訪れる人がもっと増えてくれれば」。足を運んでもらうきっかけをつくろうと、市内のイベントにも積極的に出店したいと考えています。
芝生に座って海を眺めながら、おにぎりを頬張る幸せ。これからも小さなおにぎりスタンドから、愛情込めて届けます。
【ままかせ亭 information】
種差海岸にあるテイクアウト専門店。メニューはおにぎり、じゃじゃ麺、上海風焼きそばなどの軽食が充実している。おにぎりに合わせたい唐揚げ、日替わりみそ汁もあり。かき氷はボリュームに定評がある。
ところ:八戸市鮫町遥望石20-78
でんわ:090-5838-2923
営業時間:11:00~16:00
定休日:火曜、金曜
Instagram:@mamakasetei
※本紙生活情報誌シュシュ7月号の特集記事をウェブ用に再編集しました。