Free漁業の礎知る機会に 国重文「漁撈用具と浜小屋」現地公開/八戸
八戸市博物館(小保内裕之館長)は2日、同市鮫町にある「漁撈(ぎょろう)用具と浜小屋」の国指定重要有形民俗文化財指定30周年を記念し、現地公開を行った。普段は非公開の浜小屋と市立民俗資料収蔵庫が開放され、来場者が漁業の歴史や当時の暮らしへの理解を深めた。
浜小屋が作られたのはおよそ150年前。主に漁具置き場や寝食の場として利用されてきた。1960年代後半になると、漁法が急速に近代化され、浜小屋を拠点とする漁の在り方は次第に失われていった。
伝統的な漁業文化を後世に残そうと、72年に結成された大久喜法師浜漁業民俗保存会などが漁撈用具を収集し、浜小屋と共に市へ寄贈。その価値が認められ、93年に国指定重要有形民俗文化財に指定された。
かやぶき屋根の浜小屋は土間と板の間に分かれており、中央には暖を取るために使われていたいろりが据えられている。隣接する収蔵庫では、木製の船や布製の帆などが数多く並び、当時の漁法をありありと伝えている。
同博物館の小林力さん(37)は「八戸は漁業のまち。ぜひ現地に足を運んで、今につながる漁業の礎に思いをはせてほしい」と語った。
現地公開は16日も実施する。観覧無料。時間は午前10時~午後3時。