Free【北奥羽の地名】木明・明前(きみょう・みょうまえ、野辺地町)/馬育む小川「澪(みお)」が変化
野辺地町を北上する国道279号沿いにある、木明、明前の両地区。共通する「明」の字は、小川や水路を表す「澪(みお)」の読みが変化したものだとの説がある。
由来となった水の流れは農業と馬の飼育に利用され、そこに暮らす人たちの生活に密接に関わった。野辺地町歴史を探る会会長の鈴木幹人さんによると木明、明前地区の北には、南部藩の牧場の一つ「有戸の牧」があった。
馬は、牧草が豊かな時期には有戸の牧で育てられるが、飼育を楽にするため人が暮らす集落に近い木明、明前に移動させていたという。その際に重要なのは、馬の水飲み場として冬でも凍らず、きれいな水があること。小川の流れる木明、明前両地区は、馬を預かるのには絶好の場所だったようだ。
木明地区の河口には動物供養の際にまつられることもある馬頭観音神社もあり、古くから人と馬との結び付きがあったことを想像させる。現在は農業に従事する人たちが多い。特に明前地区には、ブランド野菜「のへじ葉付きコカブ」の生産農家が集中し、町の農業を支えている。