Free耳目に哀愁、御霊供養 鮫で伝統の「墓獅子」/八戸
八戸市鮫町にある浮木寺の墓地で14日、江戸時代から続く鮫神楽連中の「墓獅子」が披露された。獅子頭の舞と掛け歌が一帯を哀愁たっぷりの雰囲気で包む中、墓参りに訪れた市民は静かに手を合わせて先祖の御霊(みたま)を供養した。
墓獅子は鮫神楽の演目の一つで、毎年8月14、15の両日に実施。旧南部藩領内独特の舞で、青森、岩手両県内の神楽で行われていたが、現在では毎年継続的に行っているのが鮫のみとなっている。
「恋しさに~恋しき人の墓見ればヤ」などの掛け歌に合わせて、獅子頭が涙をぬぐうなど悲しげに舞い、生者と死者の交流を表現。家族は手を合わせて見守り、先祖の冥福を祈った。
悪天候で依頼は3件と少なかったが、父親が亡くなってから毎年頼んで4年目という丹波雅昭さん(58)は「やってもらわないと締まらない。ストーリーがあって好き」と語った。この日が墓獅子デビューの若手神楽士髙嶋千央さん(23)は「緊張したが、依頼主が満足してくれることを心がけた」と、大役を終えてほっとした様子だった。