Free(34)年齢階級別の有業率 松田英嗣・あおもり創生パートナーズ取締役
私ごとで恐縮であるが、単身赴任も長くなり1人での日常生活も不便なく過ごせるまでになってきた。とはいえ、自炊や洗濯をサクサクこなしている訳ではなく、コンビニやコインランドリーなどをフル活用の上、家事労働を軽減しているだけであり、胸を張れる単身生活ではない。
そんな単身生活には欠かすことのできないコンビニであるが、朝夕とお世話になっている店舗でも激しい人手不足に悩まされているらしく、アルバイト募集の張り紙が消えることはない。単身生活者の生命線確保のためにも、人手不足による閉店とならぬことを祈るばかりである。
そんな折、総務省が2022年の「就業構造基本調査」を公表した。この調査は、国民の就業および不就業の状態などを把握することを目的に、5年ごとに実施されているもので、年齢階級別・男女別の就業状況を把握できることから、青森県の男女別・年齢階級別の有業率(ふだん収入を得ることを目的として仕事をしている人の割合)を算出した。
それによると、男性の有業率は、25歳から59歳まで90%前後で推移し、60~64歳でも80%を超えており、65歳以降急激に減少している。一方、女性の有業率は25歳から54歳まで80%前後で推移し、減少に転じるのは55歳以降と男性と比べ10歳ほど早い。また、20~24歳層以外では、全ての年齢階級で有業率は男性より低い水準にとどまっている。
ここで着目したいのが、男女間の有業率の差である。女性の有業率を上げることができれば、本県の人手不足の緩和に大きく寄与するはずだ。仮に、25歳から64歳の女性の有業率が男性と同水準まで上がると、約3万3千人の新たな働き手が生まれることとなる。
本県の宿泊業・飲食サービス業の従業者数に匹敵するボリュームの働き手がここに眠っているといえる。少し幅を狭め、育児が一段落すると考えられる45歳から64歳の女性に絞っても、約2万6千人の働き手が生まれることとなる。
これは、本県の運輸・郵便業の従業者数に匹敵する規模だ。人手不足に悩む事業所は、こうした眠れる労働力を掘り起こすため、この層に届きやすいメディアを使い求人情報を流すことが有効だ。
ここまで女性の有業率を上げることが働き手の創出につながることを詳しく述べてきたが、20年前と比べると本県女性の有業率は各年齢階級とも格段に上昇している。20年前、就業率61・9%であった30~34歳層は、今50~54歳層に移動しているが、その就業率は79・4%と大きく上昇している。この20年間の社会の変化に柔軟に対応してきた女性の強さを感じる。
社会的な制度も、徐々に女性が働きやすい環境に整えられつつある。数年後には、有業率の男女差は誤差の範囲に収まることが理想だ。
そこで最大の問題は、家庭での男性の在り方だ。家事や育児を分担するスキルや心構えは万全だろうか? 男は仕事にのみまい進することが当然だ、などと思ってはいないだろうか? 昭和生まれの古い人間の1人として真摯(しんし)に反省する必要がある。
しかしである、この季節特有のサウナのように熱せられた、誰もいない部屋に帰ることにはどうしても慣れない。ごみ出しは来週に予定変更することとし、コンビニで冷えた缶ビールとおつまみ、それにアイスでも買って、今日も仕事にまい進した自分へのご褒美とし、ゆっくりすることとしたい。