Free【北奥羽の地名】母衣平出生(ほろたいはぶ、三沢市・東北町)/由来は謎 史料なく
小川原湖畔の南側と姉沼に挟まれた一帯を指し、エリアは隣接する東北町に及ぶ。いずれの市町でも、正式には「大浦母衣平出生」と表記する。
戦前までは全体が旧浦野舘村(現東北町)の村域だったが、一部が戦時中に始まった旧日本軍の飛行場建設に使用され、さらに戦後、米軍三沢基地にそのまま接収された。冷戦期、旧共産主義諸国の無線傍受に利用された巨大アンテナ(通称・象のオリ)が置かれた場所でもある。
この地名の由来について触れた史料は皆無で、詳細は不明。上北歴史文化研究会前会長の長根富栄さん=六戸町=は、日本語とアイヌ語の両面から推測する。
日本語の〈ほろ・たい〉は〈くぼんだ土地・平らで傾斜のある土地〉を意味するが、「〈はぶ〉がよく分からない」。一方、アイヌ語で〈ポロ・タイ〉は〈大きな林〉、〈ハプ〉は〈大きな木のこずえ〉を指す。
現在、東北町にある姉戸大明神が、かつて米軍接収エリアに鎮座していたことから、「放牧地で木々の少なかった中にある大明神を指していたのかもしれない」という。