Free【北奥羽各駅めぐり】⑤二戸駅 施設集約「市の“顔”に」
折爪岳の稜線をイメージした屋根のカーブが特徴的だ。二戸市石切所の二戸駅は2002年から、JR東日本の東北新幹線とIGRいわて銀河鉄道の普通列車が乗り入れている。駅東口にはJRバスのターミナルもあり、岩手県北地方の交通の要衝と言える。
駅舎は鉄骨造り3階建て1300平方メートル。新幹線開業に合わせ、市は駅舎の用地提供のほか、隣地に展望台を備えた二戸広域観光物産センター「カシオペアメッセ・なにゃーと」を建設。近くの荷渡地区を「シビックコア地区」として、記念館やホールなどの複合施設、合同庁舎などを集約させた。
馬淵川沿いの河岸段丘に沿って市街地が形成された二戸は「細長いまち」。市総合政策部の田中舘淳一部長は「駅一帯を市の“顔”にする狙い」と開発の意図を説明する。
さらに、橋や道路も整備し、回遊性を持たせた。半面、古くからの駅東口の商店街は寂しさが拭えない。「近年はバスを利用し、市内の観光スポットを周回する外国人観光客も増えたみたいだ。でも、人の流れが西口に行っている感じ」と、ある商店主。
同駅は1891年、日本鉄道(現JR)の「福岡駅」として開業し、国有化後の1921年には「北福岡駅」と改称。九州の福岡との混同を避けるためで、「東北の福岡」の意味ともいわれる。87年2月に現在の名称に変更され同4月、国鉄の分割民営化に伴いJR東の駅となった。
市によると明治時代、駅の建設は住民の反発が強く難航したが、旧石切所村の村長などを務めた小野三十郎が村民を説得するなどし現在地に誘致。駅前の所有地も村に寄付するなどし、地域発展に尽くした。
構造は、新幹線を運行するJRが相対式ホーム2面2線、IGRが単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の計2面3線。18年度の1日当たりの利用者は、JRの乗車人員が796人で、IGRの乗降人員は721人という。
地元ロックバンドPRも
IGRは先月から今月にかけ、市出身4兄弟のロックバンド「SaToMansion(サトウマンション)」とのタイアップ事業を実施した。
駅構内にゆかりの品などを展示したほか、電車には同社作成の中づり広告を掲示するなどし、バンドをPR。4日に市内で開かれた凱旋公演は大いに盛り上がった。