二戸市地域おこし協力隊の猿楽さんは、市内の風景や文化を音楽で表現する「旅音プロジェクト」を進めている。音楽家の感性で捉えた二戸の印象を、曲のイメージと共に紹介する。

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　旅音日記も、ついに最終回を迎えた。この１年間を振り返ってみると、あっという間だったなと感じる。

　実は僕にとって、今回のプロジェクトの“裏テーマ”は、「新しい自分と出会う旅」だった。初めて訪れた北東北の二戸で、一つの街を音楽で描くという試みをした。初めて１人だけで音源や映像を制作し、新聞でこの連載も書いた。

　初めて尽くめの挑戦の中で、たくさんの貴重な経験ができた。旅で出会った全ての方々に感謝している。今後は、これまで作った曲をブラッシュアップし、より多くの方に届けたい。

　さらに、例えば曲を作った場所で僕自身が観光客を案内する、「旅音ツアー」のような旅行プランも実現できないかと考えている。そのために、旅の企画・販売ができる「地域限定旅行業務取扱管理者」という資格も取得した。二戸の美しい風景や文化などの魅力を伝えられたらうれしい。

　最終回のタイトル曲名は「プロローグ」。決して、エピローグと間違えたわけではない。曲には、人生という旅の中で新しく体験することに不安を感じる時があっても、生命の輝きを求めて挑戦したいという僕自身の思いを込めている。

　生きることは大変だが、自分の信じる道を真っすぐに進み、限りある命を全うしていこう。そんなイメージで曲を作った。

　連載は終わるが、僕の旅は新しいスタートを迎える。この先にどんな道が開かれているかは、まだ分からない。でも、一歩踏み出すと、そこに道ができていくはずだと信じている。

　次は旅音シリーズのコンサートや観光ツアーなど、リアルな機会で皆さんにお会いしたい。１年間、本当にありがとうございました。

　※タイトル曲などのミュージックビデオ（ＭＶ）は、猿楽さんのサイト「にのへの旅音」で公開している。