Free【GW 一気読み!!】瀬戸際の八戸中心街・第1部

八戸市中心街で長く営業してきた三春屋が閉店してから1年あまりがたちます。この間、デーリー東北では中心街の再興を考える企画「瀬戸際の中心街」を展開しました。第1部では三春屋閉店に揺れる“街の顔”の現状を取り上げました。

 ①兆 候
 4月10日午後6時半、市民に親しまれてきた老舗百貨店が、52年の歴史に終止符を打った。八戸市十三日町の三春屋。営業終了を告げる「蛍の光」のBGMが寂しく響く。

正面入り口前には100人以上の市民が駆け付けた。「ありがとう、三春屋」。別れを惜しむ声が上がる中、シャッターがゆっくりと降りた。

深々と頭を下げる従業員。万感の思いがこみ上げた。そして、ある疑問も。「なぜこんな結末になってしまったのか」―。

 ②疑 念
 「百貨店は街の文化。三春屋を皆さんが楽しみに来てもらえる場所にもう一度戻したい」

2020年2月、八戸パークホテル。三春屋を取得した「やまき」(東京)の山下修平会長は、取引業者らを前に高らかに宣言した。

音楽を聴きながら食事を楽しめるライブレストラン、これまで取り扱いのなかった商品を販売するバーチャルショップ―。三春屋再生の核となる会員制サロン計画の概要は、百貨店のイメージを覆す華々しいものだった。

 ③再 起
 「らーめんふぁくとりーのすけ」。八戸市を代表する人気ラーメン店だが、その歩みは決して順風満帆ではない。

店を開いたのは2010年11月。海に臨む館鼻岸壁の近くだった。その4カ月後、東日本大震災に見舞われる。壊滅的な被害に、目の前が真っ暗になった。

店を畳もうとした。それでも周囲の励ましを受け、意を決して中心街で勝負する。それから10年余り。市内外から多くのファンが足を運んでくれたのだが…。

 ④空洞化
 大道芸、音楽ライブ、ダンス。「はちのへホコテン」が開かれた6月26日、八戸市中心街は久々に人波であふれ、活気に包まれた。

新型コロナウイルスの影響で、ここ数年は祭りやイベントが中止か規模縮小に。ホコテンも2020年10月以来。この日を待ちわびた市民が、散策しながら思い思いの時を過ごした。

一夜明けて平日を迎えると、街の表情は一変。人通りはまばらで、「ハレの日」のにぎわいとはあまりにも対照的だ。

 ⑤新ビジョン
 「三春屋が閉店して非常に寂しい」「八戸市や周辺地域全体の問題として捉え、考えることは有意義だ」

三春屋が閉店した4月以降、本紙の読者投稿欄「こだま」には、中心街に関する意見が相次いで寄せられている。

幼少期から通った老舗の思い出、三春屋の跡地利用のアイデア、駐車料金無料化など中心街活性化への提言。商業ビル「チーノはちのへ」の再開発構想を巡り、入居する市内唯一の映画館「フォーラム八戸」の行方を憂う声も多い。


 
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