Free脳の病気撲滅へ青森県と連携 岩手医科大、量子科学分野で協定

協定を締結した岩手医科大の小川彰理事長(右)と青森県の柏木司副知事=9日、八戸市
協定を締結した岩手医科大の小川彰理事長(右)と青森県の柏木司副知事=9日、八戸市

岩手医科大(小川彰理事長)と青森県は9日、量子科学技術の分野に関する連携協定を締結した。北東北の拠点として六ケ所村にある県量子科学センターを活用し、PET―CT(陽電子放射コンピューター断層撮影)の臨床研究を展開。人材育成や医学研究を進めながら、県内の関連病院と協力し、脳疾患やがんなどの病態解明と診断、治療法の確立を目指す。

 PET―CTは、放射性薬剤を用いて細胞の機能を撮影したPET画像と、臓器を精細に描写するCT画像に重ね合わせることで、より精度の高い診断ができる方法。

 県量子科学センターは、サイクロトロン加速器と薬剤自動合成装置を活用し、PET薬剤を合成。このうち、放射性物資が半分になる半減期がごく短い薬剤について、センターでのみ臨床研究に活用できる。

 これまで岩手医大は、日本アイソトープ協会仁科記念サイクロトロンセンター(岩手県滝沢市)で、2019年3月まで約30年にわたりPET臨床研究を実施してきた。青森県量子科学センターでも17年10月の開設当初から運営面で貢献。患者の臨床試験を開始するなど成果を出しており、今回の協定締結に至った。

 9日、八戸グランドホテルで行われた締結式で、小川理事長は「北東北に多い脳卒中の撲滅に向け大きな力になると思う」、柏木司副知事は「医療技術の高度化や産業振興に向け、積極的に取り組むことは大きな意義がある」とそれぞれ述べた。

 
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