Free【月刊Dash】ロス五輪夢見る体操の注目株/柴沼咲太朗(八戸・白山台中)
「ウルトラマンになりたい」-。そんな“夢”を抱いて柴沼咲太朗(八戸市立白山台中3年)=ソニアスポーツクラブ(同市)所属=が器械体操の道を歩み始めたのは3歳の時。以来、地道なトレーニングで進化を続け、今夏は中学生レベルの全国大会で活躍した。「“パリ”の次は自分が…」。2028年ロサンゼルス五輪代表を夢見る注目株だ。
男子はゆか、あん馬、跳馬、鉄棒の4種目、大会によっては平行棒とつり輪を加えた6種目で争われる。柴沼が最も得意なのは鉄棒。高さ2・8メートルの世界で、豪快に大車輪や手放し技を繰り広げ、最後は宙返りしながら着地する。花形種目の一つだ。
ハードな競技だけにけがが付き物だが、今夏もアクシデントに見舞われた。7月半ば過ぎ、鉄棒の練習中に頭から落下した。救急車で病院に運ばれ、頸椎(けいつい)捻挫の診断。目標の全国大会を8月に控えていた。
「絶望的な気持ちになった。でも、できる限り治そう。本気で大会に出て駄目だったら仕方ない」。気持ちを奮い立たせた。懸命の治療もあって、5日ほどで練習を再開。その数日後には全国大会につながる東日本大会の舞台に立っていた。「たくさんの人たちに支えてもらった」
8月12日の全日本ジュニア選手権(横浜)はAクラスで総合5位、種目別鉄棒は堂々トップ。同15〜17日の全国中学校大会(宮城)は総合7位、種目別ゆか、跳馬は各3位、鉄棒5位だった。「諦めなかったのが良かった。前月のけががうそのように、全中ではノーミスの演技ができた」。9月には初めて国民体育大会(栃木)にも出場した。
来春には関東の強豪校に進み、さらなる高みを目指す。憧れの選手は、世界選手権個人総合6連覇など輝かしい成績を残した内村航平氏。「筋力、持久力、精神力をもっと鍛え、内村さんのように大舞台で美しい演技ができる選手になる」。そう、心に誓っている。
【略歴】柴沼 咲太朗(しばぬま・さくたろう) 2007年7月生まれ。八戸市出身。市立西白山台小-白山台中3年。今夏は全国中学校大会(宮城)で男子個人総合7位、種目別ゆか、跳馬各3位。ソニアスポーツクラブ(八戸市)所属。身長158センチ、体重49キロ。