Free【記事アーカイブ】寂聴節で境内和やかに/天台寺で最後の法話
天台寺(二戸市)の住職を20年近くにわたって務めた瀬戸内寂聴さんが亡くなった。2005年の引退後も名誉住職として、年に2度の法話を行うなど地域とのつながりを深めてきた。17年5月5日に行われた最後の法話の記事を配信する。
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東北最古の名刹(めいさつ)として知られる二戸市浄法寺町の天台寺で5日、名誉住職・瀬戸内寂聴さん(94)が寺に入って30年の節目を記念した特別法話が開かれた。市内外から約5千人(主催者発表)が訪れ、ユーモアあふれる“寂聴節”に、境内は和やかな雰囲気に包まれた。
寂聴さんは1987年5月5日に住職に就任。2005年6月に引退するまで、法話のほかに地域のイベントにも参加するなど、住民との関わりを深めてきた。その後名誉住職となり、春と秋の例大祭の一環として法話を実施。現在は本堂と仁王門の改修工事のため例大祭を中止しているが、今回は特別に法話を行った。
今月15日に95歳を迎える寂聴さん。「死ぬことは怖くない。そろそろお迎えが来ると思うが、大きな船で“寂聴ツアー”として向こう側に行こうかなと。一緒に行きたい人はお乗せしますよ」と笑いを誘った。
30年間を振り返り、「縁もゆかりもない場所だったが、天台寺に初めて来た時は何とも言えない高貴な空気を感じた」と回顧。寺周辺には墓も所有しており、「多くの人が来てくれるありがたさは、何物にも代え難い。私の魂はここにあり続ける。これからも天台寺を訪れてほしい」とメッセージを送った。