Free元八戸町長・北村益の居合映像 県近代文学館で初公開 長男小松が撮影か
八戸町(現八戸市)で第3、5代町長を務めた北村益(1868~1951年)が、免許皆伝の腕前だった神道無念流居合の演武を披露する73歳の時の映像「尚武(しょうぶ)」が見つかり、22日に青森市の青森県近代文学館で初公開された。劇作家・小説家の長男小松(1901~64年)が撮影した可能性があり、映像の説明を行った八戸ペンクラブの滝尻善英副会長は「北村益が実際に動いている映像はほかに見たことがない。八戸藩で伝承された武術の実像に迫る上でも貴重な資料だ」と強調する。
1907年に第3代八戸町長に就任し、鮫港の修築や、久慈―八戸間の鉄道開通に尽力した北村は、さまざまな武芸に秀でていたことでも知られる。
江戸時代に八戸藩へ伝わった神道無念流については、00年に剣術および居合の免許を皆伝された。同流派は、全ての動きに発声がある、左足のつま先が外側を向く「撞木足(しゅもくあし)」を行う―などの特徴を持つ。北村以後も伝承され、91年に八戸市の無形文化財に指定されている。
映像は、近代文学館で開催中の北村小松生誕120年特別展に関わる資料調査の過程で、16ミリフィルムから復元された。同日、同館で開かれた滝尻さんの講演で初公開となった。
41年に八戸市類家の芭蕉堂公園で撮影された約8分の映像で、北村が神道無念流と、穴澤流なぎなたの演武を披露している。撮影者は「竹丈六」で、滝尻さんは「松竹梅の『竹』、大きいという意味の『丈六』で、小松に対して大竹。ペンネームを使った小松が撮影したのではないか」と推測した。
現在の無念流と比較した滝尻さんは「撞木足や、発声など基本的な部分は現在と同じ」とする一方、伝承の過程でアレンジが加えられた可能性を指摘。「北村が極めていたのは、古くから伝わる無念流を踏襲した、より正統に近いものだった。細かい部分で違いがあるのではないか」として、映像が今後の伝承に生かされることを期待する。
八戸市から講演会に足を運んだ村上惠拓さん(84)は「切れのある素晴らしい演武。日本人の心を感じた」と声を弾ませた。
映像の今後の公開は未定だという。
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