Free陸奥湊駅前の魅力創出へ 独自メニュー提供「陸奥湊キッチン」初開催
八戸市湊町のJR陸奥湊駅周辺の地区住民らで組織する「陸奥湊駅通り地区まちづくり協議会」(駒井庄三郎会長)は、改修計画が立ち上がった市営魚菜小売市場や駅前地区の活性化に向けた取り組みを展開している。21日は同市場で、市内の料理人が考案したオリジナルメニューを提供する企画「陸奥湊キッチン」を初開催。“市民の台所”として親しまれ、観光拠点でもある陸奥湊エリアの新たな魅力を創出し、一体的な再開発の可能性も探る。
老朽化が進む2階建ての同市場は耐震補強が必要になり、市が建物にリノベーションを施す方針を決定。当初は建て替え案も浮上したが、2階部分を撤去した上で、全体的な改修工事を手掛けることになった。
本年度は実施設計の策定や事業費の精査などを進めており、早ければ2021年度の着工、22年度の供用開始を目指している。工事期間中に店子(たなこ)が仮営業する移転先も確保する方針だ。
駅前地区の再開発計画では、同市場を中心とした地区全体のにぎわい創出に向け、民間市場などを含めた一体的な再整備の可能性を模索している。陸奥湊キッチンの企画は、市民に陸奥湊エリアの魅力を再認識してもらい、反応や意見を分析して今後の計画に反映させることも目的とする。
同協議会の石黒一之事務局長は「イベントで得た情報は市にも提供したい。民間市場についても、何らかの方向性を導き出す契機になれば」との見解を示す。
初回の21日は、同市の「ピロチュン」が手掛けた「陸奥湊の海鮮粥(がゆ)」が提供され、来場者が特別な一品を味わった。同市鮫町の女性(78)は「評判の店なので食べてみたかった。とてもおいしかった」と喜び、「陸奥湊は昭和の雰囲気が残る一帯。今は店舗や人が減ってしまって寂しいが、昔のような活気が戻ってきてほしい」と願った。
同協議会企画・広報コーディネーターの大粒來里紗さんは「八戸の台所として親しまれる陸奥湊で、商店街と一緒に地域を盛り上げる一助になれば。お店を出したい人にも情報を発信していきたい」と話した。
陸奥湊キッチンは、魚菜小売市場で販売されている海産物などを使い、市内の料理人が一日限定でオリジナルメニューを提供する企画。来年3月まで毎月1回開催する予定だ。来月の開催日時や内容は未定。