Free谷地村さん(八戸高3年) 短歌研究新人賞で最終選考に/短歌界新人の登竜門
青森県立八戸高3年の谷地村昴さん(17)が、短歌界の新人の登竜門である第63回短歌研究新人賞(短歌研究社主催)で最終選考に残り、短歌総合誌『短歌研究9月号』に作品が掲載されている。受賞は逃したものの、高校生で最終選考に残るのは珍しく、今回最終選考作品の中では最年少。谷地村さんは「今後も自分がベストだと思う作品を出し続けたい」と意欲を語る。
同賞は未発表作品30首で公募する。今回は全国から595編の応募があり、最終選考作品24編の中から、新人賞、次席2編、候補作3編が選ばれた。
谷地村さんが同賞に応募するのは初めて。30首をそろえた大変さを振り返りながら、「背伸びせず、身近なことを自分なりの力で詠んだ」と語る。
苦手な数学の授業での様子を詠んだ、〈積分を投げ出したくなる時だってあっけらかんと青空はある〉。数式が宇宙のように感じたことから、〈新しい銀河に触れてみるように理系クラスの扉を開く〉。
他にも、〈明日からは休校だって告げられて今日はだれかに優しくしたい〉など、休校による普段の学校生活とは違う、「煮え切らない気持ち、不安定な気持ち」も作品に込めた。
昨年まで八戸高文芸部で谷地村さんを指導してきた八戸西高の田茂博之教諭は、「比喩表現や言葉遣い、全体のバランスが良くなった。一年生の時から格段に洗練された」と評価。
谷地村さんも「自分で添削する力や、作品を選ぶ力はついたかな」と成長を実感した様子だ。受験が終わったら、もっと短歌作り、作品発表に打ち込みたいという谷地村さん。「どんな状況でも良い歌を詠めるようになりたい」とさらなる活躍を誓う。