Free国内初 古代サメの「とげ」化石 久慈琥珀博物館・採掘体験場で発掘
久慈市小久慈町にある久慈琥珀博物館の採掘体験場で、約9千万年前の後期白亜紀の地層から昨年5月に見つかった化石を早稲田大と城西大の研究者が鑑定した結果、絶滅したサメの仲間である「ヒボダス類」の背びれのとげの化石だったことが16日、分かった。同館が東京都内で記者会見を開いて発表した。ヒボダス類のとげの化石が日本で発見されたのは初めて。
これまで国内では、太古に外洋の沖合環境下だったとされる北海道の地層から歯の化石が見つかっている。浅い海や河川だった同市の地層からもヒボダス類の痕跡が見つかったことで、東アジア縁辺部での詳しい生息状況を突き止める手がかりとなりそうだ。
化石は長さ約19センチ。断面が卵円形で中が空洞。緩やかにカーブして側面に筋が入る。2列で交互に配列された小さい突起も確認でき、こうした特徴からヒボダス類の背びれのとげだと推定した。体長は小型で約1メートルとみられる。とげはワニや恐竜などから身を守る役割を担ったとみられる。
発掘したのは一般来館者で一関市在住の県立病院検査技師、高橋光さん(27)。家族と訪れた際に“世紀の発見”に出くわしたといい、同館を通じて「最初は木の化石かと思ったが、空洞は骨髄で生物の骨ではないかと思い興奮した。貴重な発見に携われてうれしい」とのコメントを寄せた。
早大国際学術院の平山廉教授と共に会見した城西大大石化石ギャラリーの宮田真也学芸員は、久慈市で近年見つかった化石を再検討した結果、少なくとも2種類のヒボダス類の歯が3点含まれていたことも紹介。「(化石が見つかった)地層は白亜紀の東アジア縁辺部の生物相を理解する上で極めて重要。自然史の教育資源としての活用にも大きく期待できる」と述べた。
同席した遠藤譲一市長は「化石を核としたまちづくりの弾みになる。交流人口の拡大や地域活性化をけん引してくれれば」と期待した。