Free【震災から9年】慰霊の日、記憶胸に 各地で静かな祈り
東日本大震災は11日、発生から9年を迎えた。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、北奥羽地方の被災地では予定されていた追悼行事やイベントなどの大半は中止や縮小を余儀なくされたものの、静かに手を合わせる住民の姿が各地でみられた。東北地方を中心に、死者1万5899人、行方不明者2529人(10日現在)という被害を出した未曽有の災害から9年。例年とは違った状況で迎えた慰霊の日だったが、被災地は犠牲者を悼むとともに、震災の記憶を胸に刻む人たちの静かな祈りに包まれた。
北奥羽最大の被災地となった野田村では、海岸近くの大津波記念碑前に例年同様に献花台が設置され、約150人が次々と訪れて花を手向けた。
小田祐士村長は取材に「あの日のつらい記憶をしっかりと思い起こした。ハード、ソフト両面の事業を組み合わせ、どう地域づくりを進めていくか、しっかりと考えていきたい」と力を込めた。
八戸市鮫町の蕪島では、蕪嶋神社主催の慰霊祭が行われ、市民ら約20人が海に向かって祈りをささげた。神職が仮設の拝殿で神事を執り行った後、蕪島海水浴場へと移動。地元住民らも加わり、地震が発生した時刻の午後2時46分に一斉に黙とうした。
同市の種差天然芝生地で予定されていた鎮魂イベント「HUMANBAND(ヒューマンバンド)on3・11」は中止となったが、午後2時前から自主的に約60人が集合。手を消毒した後、互いに手をつないで静かに目を閉じた。
震災での教訓を忘れずに防災・減災への思いを胸に、青森県内の公共施設などでは半旗が掲げられたほか、沿岸町村では地震発生の時間に合わせて防災無線でサイレンが鳴り、住民に黙とうを呼び掛けた。
一方、久慈市の復興祈念式は中止となった。