Free岩手山、噴火警戒レベル2に引き上げ 火口周辺規制
仙台管区気象台は2日、山の膨張を示す地殻変動が観測されている岩手県の岩手山(2038メートル)で、西岩手山(大地獄谷・黒倉山から姥倉山)の想定火口からおおむね2キロの範囲に影響を及ぼす噴火の可能性があるとして、噴火警戒レベルを「活火山であることに留意」の1から「火口周辺規制」の2に引き上げた。同県の八幡平市と滝沢市、雫石町の登山口など計7カ所で、立ち入り規制を実施する。岩手山全体で入山規制がかかるのは、以前活動が活発化した1998年以来。県は同日、災害特別警戒本部を設置した。
岩手山で噴火警戒レベルが2に引き上げられたのは、2007年12月に警戒レベルの運用を開始して以来初めて。
盛岡地方気象台によると、9月26日に実施された地球観測衛星「だいち2号」の観測の結果、水蒸気噴火が起こる恐れがあるとされてきた、想定火口の一つである黒倉山の下の大地獄谷付近で、数センチ程度の地表の隆起が確認された。
地表からごく浅い所の膨張が示されているとみられ、火口周辺に影響を及ぼす噴火の発生、あるいは発生が予想される状況と判断された。登山者以外の住民は普段通りの生活をして問題はない。
気象台は、西岩手山の想定火口から2キロの範囲で噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石への警戒を呼びかけるとともに、噴火した場合は火口の風下で、火山灰や小さな噴石が遠方まで降る恐れがある―と注意を促す。
県知事らで構成するよる岩手山火山防災協議会はあらかじめ、レベル2に引き上げられた際は3と同等に入山を規制する対応を定めていた。
県の火山活動に関する検討会座長の齋藤徳美岩手大名誉教授は取材に、県民に向けて「いつも以上に、気象台からの火山に関する情報に耳を傾けてほしい」と訴えた。