Free浮島丸沈没、悲劇語り継ぐ 朝鮮人徴用工らの冥福祈る 出港地・大湊で集会

大湊湾に向かって冥福を祈る参列者
大湊湾に向かって冥福を祈る参列者

太平洋戦争終結直後、下北地域などで強制労働させられていた朝鮮人徴用工と家族らを乗せてむつ市の大湊港を出港し、京都・舞鶴湾で突如沈没した輸送艦「浮島丸」の追悼集会が22日、出港地に当たる市中央公民館駐車場で開かれた。参列した市民ら約20人が犠牲者の冥福を祈り、歴史の継承へ決意を新たにした。

 浮島丸は1945年8月22日夜、朝鮮人ら約3700人を乗せて韓国・釜山(プサン)へ向けて出港し、24日に舞鶴湾内で爆沈した。政府によると日本人乗組員25人を含む、計549人が犠牲になったとされる。

 事件を巡っては今年5月、ジャーナリストの情報公開請求に対し、政府がこれまで不存在としてきた乗船者が記された名簿を初めて開示するなど、明らかになっていない部分も多い。

 集会は、市民団体「浮島丸下北の会」が主催し、今年で31回目。参列者は黙とうをささげた後、大湊湾に向かって花を手向け、手を合わせた。

 村上準一会長は「いまだにさまざまな疑問が解決されていない事件。政府に加害責任があることを訴え、真相究明や遺骨返還を前進させ、次世代につないでいきたい」と述べた。

 
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