Free授業前の「朝鑑賞」 有用性や課題は 八戸市美で研修会

参加者約30人が武蔵野美術大の三澤一実教授(中央)のアドバイスを受け、朝鑑賞の進め方を実践した
参加者約30人が武蔵野美術大の三澤一実教授(中央)のアドバイスを受け、朝鑑賞の進め方を実践した

小中学校の授業前の時間を活用して美術作品を鑑賞する「朝鑑賞」について学ぶ研修会が1月29日、八戸市美術館で開かれた。市内の教員や関係者約30人が参加し、武蔵野美術大の三澤一実教授の講義や実践を通して、その有用性や課題を探った。

 教育現場との協働を目指す同館が主催。朝鑑賞は教員がファシリテーター(進行役)を務め、児童生徒に作品に対する印象や感想について自由な発言を促しながら進行する。来年度から、市内の一部公立小中学校で試験的に導入することが予定されているため、朝鑑賞の普及活動に力を入れている三澤教授を講師に招いた研修会を企画した。

 三澤教授は講義で、朝鑑賞は子どもたちの主体性や想像力を育み、多様性を受け入れる機会を造成するため、学力向上やいじめの減少につながるメリットがあると説明した。

 一方で、教員の意欲やファシリテーション能力に委ねられる部分が大きく、より効果的に行うためには▽何かを伝えるのではなく、児童生徒の意見を引き出す姿勢を徹底する▽児童生徒の言葉を繰り返しながら進行する▽視点を広げるきっかけを与える―といった点に留意することが大切だと強調した。

 同館が収蔵する絵画を用いた鑑賞の実践も行われた。参加者からは「(ファシリテーターの立場では)沈黙が怖く自分の考えを言いたくなる」「自分と他者の考えを比較し、より深く鑑賞してみようと感じた」といった声が上がり、朝鑑賞における傾聴力や主体性の重要性について、理解を深めていた。

 
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