Free地域の守り神、カヤ人形作り 無病息災や五穀豊穣願う/十和田・板ノ沢地区

地域住民が力を合わせて作り上げた男女のカヤ人形=17日、十和田市深持の板ノ沢地区
地域住民が力を合わせて作り上げた男女のカヤ人形=17日、十和田市深持の板ノ沢地区

十和田市深持の板ノ沢町内会(沢目豊会長)は17日、江戸時代から300年続くとされる伝統のカヤ人形作りを行った。住民約70人が手分けして約3メートルに及ぶ男女2体の人形を完成させ、御瀧大龍神(板ノ沢神社)に奉納。無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)など、この一年の地域の平穏を願った。

 江戸時代かそれ以前の飢饉(ききん)を契機に始まったと伝わる伝統行事で、人形は毎年作り替える。近隣の集落でも行われていたが、現在まで残るのは板ノ沢のみだ。

 近年は「海の日」に合わせて開催。2014年に市無形文化財に指定され、新型コロナウイルス禍でも途切れることなく続けた。

 この日は午前8時に参加者が転作営農センターに集合し、隣家の倉庫で人形作りに着手。カヤの束を人型に重ね、縄で縛って体の形を作ると、男人形にはひげを生やして刀を差し、女人形には生花を使ったかんざしやカラフルな刺し子の前垂れを付け、立派に飾り付けた。

 完成した2体を昼前にトラックで運んで神社に設置し、足元には子どもたちが作った約30センチの小さなわら人形を奉納。自分たちで作り上げた“地域の守り神”に静かに手を合わせた。沢目会長は「跡継ぎの確保は大変だが、長く続いてきた行事をできる限り守りたい」と述べた。

 
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