湯沢翔北高３年の夏、最後の秋田大会の準々決勝の敗戦が、プロ入りの目標を強くさせた。１点リードの八回一死一、三塁のピンチでマウンドに上がり、無念の逆転負け。甲子園出場の夢は絶たれた。

　「自分が打たれて負けた」。それでも、夏に味わった最大の悔しさは前に突き進む原動力となっている。「チームに迷惑をかけた。大学で成長することが地元への恩返しだと思う。絶対にプロになる」

　高校３年時に投手育成に定評のある八戸学院大の正村公弘監督から指導を受け、成長を確信して進学を決めた。高校時の最速は１４２キロ。大学生活ではランニング、バーベルを使った下半身の強化に励みながら、正村監督の指導の下、フォームの改善にも努め、３年間で１０キロのスピードアップを実現した。

　球速だけでなく、球質にもこだわっている。放った球の回転数を上げ、相手選手のバットに当たっても飛ばない「重い球」を目指してきた。「１日置きに１５０球を投げ込んできた。チームのための投球をするために、かなり練習した」と向上心を示す。

　現在は制球力が課題。「昨季はストライクが入らなくて降板したこともあった」だけに力み過ぎない投球を心がけている。「同じフォームで投げ続けることが大切だと思う。キャッチボールに長い時間をかけて、投げ方を整えるようにしている」

　高校時代を含め、全国大会への出場はいまだない。狙うのは春季リーグでの優勝と初の大舞台だ。今季の投手としての目標は先発完投。「連戦の１試合目で投げ切って、次の日の試合でも登板するような投手になりたい」プロ入りの強い夢を抱きながら、チームの勝利のために、並々ならぬ決意でマウンドに向かう。「チームのリーグ優勝が一番。その上で、プロに注目されるような投球をしたい」

　◇たかはし・がい　２００１年６月生まれ。２１歳。秋田県湯沢市出身。市立雄勝中－県立湯沢翔北高－八学大４年。投手。最速１５２キロの直球と切れのあるスライダーが武器。右投げ右打ち。身長１８２センチ、体重８５キロ。