二戸市の金田一温泉郷にある「おぼない旅館」の若女将（おかみ）、大建ももこさん（３７）が初のイラストエッセー集「おかえり　ただいま　いってらっしゃい」を自費出版した。味のある絵手紙やイラストを交えながら、常連客や家族との温かな触れ合い、日常のささやかな幸せなどをつづっている。

　大建さんは八戸市出身。２０１２年に夫の宗徳さん（４６）が支配人を務める同旅館へ嫁いだ。宿の運営や接客、２人の息子の子育てと忙しい日々を送る中、全国各地から訪れる客との交流や二戸の四季の美しさ、心に刻まれた思い出などを、折に触れて絵や文章で書きためてきた。

　２０年以降の新型コロナウイルス禍で、客と間近での対話が難しくなった時期は、イラストに文章を添えて館内の食堂に展示。家族から記念日にもらうドライフラワーや、北国で愛情たっぷりに育てられたリンゴなど自身が幸せを感じたエピソードを紹介し、自然に気持ちの通じるようなもてなしを心がけたという。

　こうした作品が共感を呼び、多くの客に「本にしてみたら」と勧められ、第１弾として１５００部を自費出版した。

　「旅館に嫁いで大変なこともあったけれど、良いお客さん、スタッフ、家族に恵まれた。幸せな日々に感謝しつつ、ほっこりするような作品をまとめた」と大建さん。温泉郷の豊かな自然や、宿の心尽くしの料理も紹介しており、「金田一にゆっくりと滞在し、また来たいと思ってもらえるきっかけになれば」と話す。

　イラストエッセー集は税込み１２００円。おぼない旅館内で販売中。問い合わせは同旅館＝電話０１９５（２７）２２２１＝へ。