Free「関わる」大切さ、震災の教訓伝えたい 岩手県教委、復興教育の絵本製作
岩手県教委は本年度、就学前の子どもたちを対象とした復興教育に活用する絵本「みんながいるから」を製作した。読み聞かせを通じて、誰かや何かと関わることの大切さ、地域の良さへの気づきを促し、郷土の東日本大震災からの復興や発展を支える人づくりを目指す。年度内に、県内の教育・保育施設や図書館、公民館など約1500カ所に計4万部を配布するほか、県ホームページにも掲載する。
復興教育に活用する絵本の作製は、昨年度に続き2回目。今回は、震災の教訓から得られた三つの教育的価値「いきる」「かかわる」「そなえる」のうち、「かかわる」をテーマに、4、5歳児を主な対象として企画した。
主人公は、恥ずかしがり屋のキッチンカー「カーチン」。物語では、カーチンが地域や周囲の人々と関わり、困難を乗り越えて、見違えるように頼もしく成長する姿が描かれている。
作中には、岩手の郷土料理ひっつみ、ハマナスなど海岸で見られる植物が登場。古里で過去に起きた災害を子どもたちに伝えるきっかけとして、津波で家や店が流され建物が建っていない土地、避難所といった表現も出てくる。
絵本はA4判で30ページ。県内の小中学生、高校生から募集した「わたしの好きな岩手の海・山・川・まちの風景の絵」(「いわての復興教育」絵本風景の絵募集事務局主催)の入賞作品10点も収録している。
県教委学校教育室の菊池郁聡産業・復興教育課長は「小学校入学前から復興教育の下地をつくり、小学校での教育につなげたい」と話している。