Free【北奥羽の地名】母袋子(八戸市)/アイヌ語でくぼんだ土地

北奥羽の地名
北奥羽の地名

【母袋子=ほろこ】

 八戸市街から是川方面に向かって市立是川東小の手前を西側に入り急な坂を下ると、山の麓をゆったりと新井田川が蛇行する盆地に出る。現在は東母袋子、西母袋子、小母袋子に分かれる母袋子地区だ。

 藤田俊雄さん(元八戸市立図書館館長)によると、東母袋子の多くの住民は阿部姓で、平安時代後期の東北地方を舞台にした戦い「前九年の役」で敗れた安倍の一族がこの土地に落ち延びてきたという言い伝えがあるという。八戸地方でも古い950年あまりの歴史を刻む土地だ。

 初めて見た人は大抵読むことが難しい「母袋子」という地名の由来は、諸説ある。左右を山並みに囲まれて“オフクロ”の懐に抱かれている感じがすることから母袋子としたのでは―という説。

 また、松原健之助著の「北奥南部地方地名解」によると「ほろこ」は、アイヌ語で大きいという意味の「poro」と、くぼ地を意味する「kot」に分けられる。つまり、くぼんだ土地という意味だ。確かに、周囲を山に囲まれたすり鉢のような地形をしている。

 
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