Free(9)ビジネスチャンス 高坂健二・東京商工リサーチ青森支店長
青森地方気象台は11月30日、青森市の平地で初雪を観測したと発表した。平年から22日、昨年と比べて7日遅く、観測史上最も遅い初雪だったそうだ。同市では12月に入ると一層雪が降り積もり、昨冬に続いて今冬も大雪となりそうな気配を感じさせる。
この時期、毎年話題となるのが「忘年会」であろう。新型コロナウイルス感染拡大から既に3回目の冬となる。夏には流行「第7派」に見舞われ、9月ごろには一旦落ち着きを見せたものの、10月以降に再度新規感染者が増加し、いまだ予断を許さない状況が続いている。
東京商工リサーチが今年2022年10月3日から12日、全国の企業を対象に「忘年会・新年会」の実施をアンケート調査したところ、忘年会を「開催しない」と答えた企業は61・4%で、前年10月に行った調査から9・0ポイント減少した。この背景には、やはり感染防止と経済活動の両立に向けた取り組みの広がりがありそうだ。
都道府県別では、「開催しない」の割合が最も高かったのは栃木県の75・6%だった。東日本でやや慎重な姿勢がうかがえ、青森県は69・3%と、東北6県の中では最も「開催しない」割合が高い結果となった。
新型コロナ感染者が確認され始めた頃、どれほどの感染力なのかや、致死率などの正確なデータがなかったため、日本中が不安に包まれた。青森県内でも感染者が確認されると、非常なまでの誹謗中傷が飛び交い、多くの人が疑心暗鬼になっていたことを思い出す。
その頃から比べると日常的に身近な人が陽性者になっても、それを責める人が少なくなった。現在はまさに「ウィズコロナ」と言っても過言ではないだろう。
ここ数年の若者を中心とした「飲みニケーション」不要論に加え、新型コロナの流行によって酒場、ビヤホール(居酒屋)は大打撃を受けている。上場する大手居酒屋チェーンの店舗数は新型コロナ流行以前の19年12月には6661店あったが、22年9月末には5387店と、1274店(19・1%)も減少した。
大手居酒屋チェーン店のみならず、個人で経営する居酒屋、飲食店に置き換えても同じような結果であろう。これによって青森県内の繁華街には多くの空きテナントが見られるようになった。
ただ、これを悲観ばかりしている訳ではない。前述したように、現在はウィズコロナのフェーズに入っており、「Go to キャンペーン」の実施などで今後一層、外食産業は回復する見通しにある。
さらに好立地のテナントも店舗の撤退により空いており、賃料を安くしてでも入れたいテナントオーナーも多いとなれば、まさにビジネスチャンスと捉えられるだろう。
大手が撤退した今、地元青森発の新しい形、業態での起業家が次々と現れることに期待したい。