Free「チーノ」30日営業終了 誕生19年、幕引き静かに
八戸市十三日町の商業ビル「チーノはちのへ」が30日、営業を終了する。1980年に「八戸スカイビル」として誕生したビルは、核テナント撤退後の2003年9月にチーノとして再出発。中心街ににぎわいを創出してきた。ただ、人気テナントの移転や閉店が相次ぎ、経営環境は次第に悪化。建物の老朽化も進み、再開発へとかじを切った。今後は、東京の不動産開発会社が計画を具体化させる。チーノは、新たにマンションや複合ビルへと姿を変える。
八戸スカイビルの核テナントだったイトーヨーカドー八戸店撤退の7カ月後にオープンしたチーノは、市内唯一の映画館「フォーラム八戸」が入居するなど市民に親しまれてきた。
だが、ヨーカドー撤退の影響は大きく、収入は減少。09年6月には業績不振で青森地裁八戸支部に民事再生法の適用を申請した。
再建後、IT系企業のオフィスやアパレル店、大手家具チェーン「ニトリ」が入居するなど、一時はテナント誘致が上向いたが、近隣の百貨店や郊外の大型店との競争は激しく近年は再び苦境に。建物の老朽化もあり、新たなテナントも獲得できていなかった。
10月1日以降は、「フージャースコーポレーション」が再開発を手がける。約2年前からフージャース社と協議してきた複数の地権者も計画に同意。入居テナントは移転などに応じ、ビル1階にあった創業60年超の老舗「成田屋はきもの店」も今月25日に店を閉じた。5階の「フォーラム八戸」は来年1月5日まで営業を続ける。
再開発でフージャース社は来年2月ごろから一帯のビルを解体し、26年3月の完成を目指して分譲マンションや立体駐車場、複合ビルの建設を進める。
営業最終日、運営会社の八戸スカイビルはセレモニーなどを予定しておらず、チーノは静かに19年の歴史に幕を下ろす。
原隆男社長は「多くの市民の支えがあり、これまでやってこれた」と感謝し「建物がなくなるさびしさはあるが、今回の再開発が、八戸がさらに発展するきっかけとなると信じている」と強調した。