Freeフォーラム八戸閉館へ ビル解体で11月末以降 再出店模索も「白紙」
再開発構想が浮上する八戸市十三日町の商業ビル「チーノはちのへ」に入居する映画館「フォーラム八戸」について、運営会社「八戸フォーラム」(長澤裕二代表)は2日、11月末から来年1月上旬の間に、営業を終了する方針を明らかにした。今後予定されるビルの解体工事のスケジュールに合わせた対応。建物の新設を含め移転を検討してきたが、場所の選定には至らず、資金面の折り合いも付かなかった。今後、市内での再出店を模索するが、現在は白紙としている。
再開発を計画しているのは、不動産開発会社「フージャースコーポレーション」(東京)。十三日町と十六日町にまたがるチーノと旧花亀ビル、八戸スカイパーキングを取得、解体し、15階建て分譲マンションや複合商業ビルなどの建設を予定する。チーノの運営会社「八戸スカイビル」は9月末までに、フォーラム八戸を除くビルの営業を終える意向。
八戸フォーラムによると、再開発構想が明らかになって以降、あらゆる可能性を検討。長澤代表は「八戸には思い入れがあり、今回閉じることを発表したくはなかった」と語った。
現在、9スクリーンを備えていることを踏まえ、長澤純専務は「移転となるとそれなりの広さも必要。設備の重さに見合う場所はなかなかないのが現状」と説明した。
さらに新型コロナウイルスの感染拡大以降、客足が遠のいたことで売り上げが落ち込み、移転にかかる資金の確保も十分にできなかったという。今後については「現状決まっているものは何もなく、再出店について今は未定としか言いようがない」と述べた。
営業終了日は八戸スカイビル、フージャースと協議後に決定する。
フォーラム八戸は、2001年に市内から映画館がなくなったことをきっかけに、市民や地元企業が出資して運営会社が立ち上がった経緯があり、小さな映画館ながら03年のオープン以来、多くの市民に親しまれてきた。
2日夜には、株主を対象に今後の方向性に関する説明会が開かれ、約20人が参加。終了後の取材では「残念」「存続できる道はないか」などの声が聞かれた。
フォーラム八戸の開設に奔走し、「街に市民の映画館をつくる会」の代表世話人を当時務めた熊谷拓治さん(85)は「何とか続けていく方法はないものか。八戸の街に映画館を残してほしい」と願った。