Free岩徳(八戸)が破産申請 「いわとくパルコ」は当面継続
八戸市六日町のテナントビル「いわとくパルコ」を運営する不動産賃貸業「岩徳」(同市、岩岡徳衛代表)は28日、青森地裁八戸支部に自己破産を申請したと明らかにした。申請代理人の山田秀隆弁護士(同市)によると、負債額は現時点で約3億3千万円。破産開始決定を経て選任される破産管財人が今後の方向性を決めるまで、ビルの営業は当面継続される見通し。街なかは老舗百貨店の三春屋が閉店し、商業ビル「チーノはちのへ」も再開発構想に伴い閉館の方向。低迷が続く地方経済の現状を象徴する事態が相次ぎ、中心街には再び大きな動揺が広がっている。
申請は26日付。岩岡氏が代表を務め、いわとくパルコ内でホテルを運営する「ホテルリバティヒル」も同時に破産を申し立てた。ホテルは昨年10月から営業を休止しており、負債額は現時点で約1億7千万円。
山田弁護士によると、経営を一手に担う岩岡氏が昨年8月に大病を患った。親族や従業員への事業承継、スポンサー企業による再建の見込みも立たず、ビル全体の老朽化も進んでいたため、事業継続を断念した。
山田弁護士は取材に「選任された破産管財人が売却先を探すことになるが、その後はビルがどうなるかは未定」とした。債権者は金融機関が中心という。
いわとくパルコには約40店舗が入居。岩徳の従業員5人は26日付で全員解雇された。山田弁護士は28日、テナント関係者に破産申請について説明した。
民間信用調査会社の東京商工リサーチ八戸支店によると、岩徳は1966年設立。同年にビルを新築し、74年に隣接地へ新館ビルを建設した。飲食テナントをメインとした賃貸収入で、98年3月期の年間売上高は1億4140万円を計上。だが、その後は景気低迷で減収基調が続いた。
特に2020年以降は、新型コロナウイルス禍で入居テナントが打撃を受けた影響で、経営が悪化。21年期は最終黒字を確保したものの、売上高は7836万円まで落ち込んでいた。