Free【追悼・ばぁば】ふるさとの味伝えた料理研究家/鈴木登紀子さん(2014年11月掲載)
NHKのテレビ番組「きょうの料理」に40年以上出演し、「ばぁば」の愛称で親しまれた日本料理研究家の鈴木登紀子さん(東京都在住、八戸市出身)が亡くなった。96歳。本紙は2014年11月、卒寿を迎えた鈴木さんを取材していた。当時の記事を配信する。
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八戸市出身で東京都在住の料理研究家、鈴木登紀子さん(90)。40年以上出演するテレビの料理番組では「ばぁば」の愛称で親しまれている。今月14日に卒寿の誕生日を迎えたが、テレビ収録や自宅での料理教室などで忙しい日々。「90歳になっても毎日が復習。いつも新たな発見がある」と料理への意欲は衰えない。
誕生日の11月14日、鈴木さんは東京・田園調布の自宅で10人の生徒を相手におせち料理の指導。教室を終えると、誕生ケーキと花束を贈られ「まぁうれしい」と、満面の笑みを見せた。
戦後間もなく22歳で上京して結婚した鈴木さん。転機は3人の子育てを終えた後に自宅で料理教室を始めたこと。「ごく普通の家庭料理を作っていたつもりだったけど、教えてほしいという人が増えていつの間にか教室になっていた」。
料理のベースは一戸町出身の母から受け継いだふるさとの味だ。「母は家族に愛情を込めて料理していた。私も相当仕込まれた」と振り返る。
教室の評判はテレビ関係者の耳にも届き、46歳からはNHKの料理番組に出演するように。70歳を超えると「ばぁば」の愛称が定着した。
「料理をしていなかったら、今ごろは寝たきりだったかもしれない」と鈴木さん。元気の秘訣は、おいしい料理を作って食べるほか、海外旅行などで気分転換することだという。娘2人も都内で料理教室を開いており、「自分の思いが伝わったのが最高の喜び。ふるさとの味はしっかり受け継がれてる」。
鈴木さん自身も「命ある限り料理研究家を続けたい」と、穏やかに語った。
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鈴木さんの死亡記事はこちらhttps://www.daily-tohoku.news/archives/53299